中日合作のこのショーが語るのは、一匹のトキをめぐる感動的な話だ。人間により自然環境が破壊され、一匹の美しいトキが病気になった。偶然、その羽毛を拾った男の子とおじいさんは苦労しながらも傷ついたトキを見つけ出し、澄んだ泉の水でトキを治療する。すると、再び生命力がみなぎり・・・・・・。
この人間と自然の相互調和の物語は、決して想像だけでつくられたものではない。中日友好の美談を反映している。
1990年代、江沢民主席が訪日した際、中国は日本に貴重なトキを贈った。日本はこれを非常に重視し、先進技術を使った人工繁殖によって数年で100匹以上に増やした。そして、人工繁殖したトキが自然の中で生存できるかどうかを確かめるために、その中の10匹に発信器をつけて森に放した。しかし、思いもよらないことに、放鳥した10匹の行方は分からなくなってしまった。この結果から日本は、独りよがりの思いあがった環境保護では、トキの長期生存に有利な条件を生み出すことはできないことを思い知った。
今回のショーの中で、トキの命はある種の象徴といえる。中日両国の演出家は、トキの物語によって、環境保護の大切さと、地球のためにもっと大きな自然空間を残し、未来のために美しい緑を残そうと訴えたいと願っている。これは上海万博のテーマとも合致する。
主役の傷ついたトキを演じる羅さんには、演技の上で参考になる手本は何もない。ここ数年の自分の舞台経験だけに頼り、昆劇そのものの型を結び付けて、表現するという。「できるだけ多くの人に見ていただき、この作品を好きになってもらいたい」。これが彼女の最大の願いだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年4月13日