林国本
外国の相撲ファンとして、「野球とばく」事件発生後の日本の相撲界の動きに関心を持っているが、日本のメディアの報道を見ると、外部の有識者による会合も開かれ、理事長代行の言う「反社会的勢力」とのつながりを断ち切ることが提起されている。
親方の一部には「危機感」をもつ人もいると伝えられているが、メディアの「囲い記事」に出てくる、外国人を含めての見解発表を見ると、一応、公正かつ冷静なものが多数を占めている。こうした見解を見るかぎり、「危機感」とかいうものは、不必要に思われる。有識者ばかりでなく、日本の国民にも良識があることをうかがい知ることができる。千年あるいは少なくとも数百年も存続してきた、「国技」ともみられる大相撲の存続と発展を願う熱い気持ちを感じ取ることができるのである。
北京で有識者と見なしてもよい日本人に個人的にこの件をどう見ているか、とたずねてみたが、この人も、このところ日本の相撲界はいろいろな事を起こしているが、どうも自浄作用が欠けているように見える。今日の国民の気持ちとしては、もうそういうことは認められない、他のスポーツ種目でも、ときには首をかしげたくなるようなことが起こっているが、自浄作用が機能している、と語っていた。
神事、興行の要素があるとはいえ、全国ネットでオンエアされ、時には外国の要人も招待されて観戦していることもあり、これはもう日本の文化を世界に知ってもらう側面をも持つ存在となっている。そういう意味で、クリーンな存在であることは不可欠である。
今回は早めに事態が発覚したため、汚染される面は割合に狭いもので済んだが、これがもしさらに広がっていれば、日本の相撲史上の一大汚点となったことであろう。私見ではあるが、親方たちや力士が原点に立ち戻って、優秀な力士の育成、優秀な力士になるための稽古ということに専念すればそれでよいのである。初心に立ち戻るということである。こんな簡単なことがなぜ「危機感」となるのか。
白鵬の健闘を励ますために、間接的ではあるがお言葉もあった。このことを通じても、大相撲というものの存在価値がわかるはずである。
現段階では、まだ捜査が進行中であるので、多言は控えるべきだが、自浄作用が働く可能性は大いにあると思える。外部の有識者たちの努力に敬意を表すとともに、来場所はムリとしても、次の次あたりから、また、歯切れのいいアナウンサーの報道、高位の力士経験者による勘所を押さえた解説が聞けることを願っている。
G7、G8の1つとしての「先進国」日本の文化の象徴とも言える大相撲はクリーンなものであってほしい。外部から授与される賞杯にキズがつかぬためにも、これだけ国際化した世の中のこと、これは当然のことではないか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年8月13日