北京二外で全国通訳コンテスト

北京二外で全国通訳コンテスト。

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発信時間: 2010-10-20 17:08:08 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

林国本

2010全国通訳コンテスト――日本語、フランス語コンテストが10月15日、16日北京第二外国語学院で行われた。北京外国語大学、北京語言大学、大連外国語学院など17の大学がこれに参加した。

中国の対外開放の深化により、改革の進展に伴って中国の総合的国力も増強し、世界における影響力も大きくなった。こうした機運のもとで、外国語に精通した人材に対する需要も大幅に増大している。とくに、世界のヒノキ舞台で縦横に活躍するエリートに対するニーズはたいへんなものである。

第二外国語学院は、外国語教育の面でユニークなシステムをつくり上げてきた。もちろん、中国のその他の大学も、それぞれユニークなものを持っているが、第二外語のような大きな舞台を設けて人材の育成に力を入れているところは今のところ現れていない。だからと言って、これからもそうだとは言えないが、これだけの舞台を作り上げるには、外国語教育に一生をささげ、人材の育成を生きがいとする教師陣の存在がなければできないと思う。1人や2人の教師に熱意があるだけでは難しい。

私は長年翻訳、通訳の世界で一人楽しんできたせいか、一応この世界の甘い、辛いを知っている人間として、何度も評議員としてお手伝いをさせてもらっているが、毎年、若者たちの進歩と成長の姿を目の当たりにして、感慨深いものを覚えている。

感想を述べさせてもらうならば、まず、今日の若者たちは中国の国際的地位の向上など、天の時、地の利、人の和などもろもろの条件に恵まれ、努力さえすれば、ほとんどの学習、勉強のチャンスをものにすることができるので、それこそ自由に大空を羽ばたくことができ、まさにチャレンジングな時代にめぐり合わせたと言えよう。試験場に入ってくる若者たちの姿を見ていると、幸せとは何かということが少しは分かったような気がした。

しかし、ここで言っておきたいことは、今日の若者たちは、あまりにも好条件がととのっているせいか、自分でイバラの道を切り開いていく意欲に欠けているのではないかとも感じた。

私は日本の著名なアナウンサー、話し家、漫才師に関する資料をかなり持っているが、「表現の世界」で一家を成した人たちのほとんどは、人の知らないところで涙ぐましい努力を積み重ねている。わたしの若い頃、同じ分野で一緒に仕事をしていたある日本人スタッフは、私に朝日新聞の「天声人語」や産経新聞の「産経抄」を毎日筆写して、その構想力、そのリズムを体に覚え込ませなさい、と言ってくれた。今ではデジタル時代のことだから、こんな徒弟奉公の修業のようなことを勧める人はいないと思うが、私は自分の前半生において、この日本人スタッフは私にとって伯楽、恩人であったと思っている。この人の言葉を耳にすることがなかったら、私は何もなしとげることなく数十年を過ごすことになっていたに違いない。「天声人語」、「産経抄」ばかりでなく、すべての知識について、それをうわべだけ知って、とことんそれを突き詰めないならば、無為徒食のまま一生を過ごすことになったかもしれない。

今回の若者たちの試験では、ほとんどすべての人が日本語の「スリ」と「置き引き」の違いをハッキリ理解していなかったようだ。つまり、ボキャビュラリーの量という点ではまだ道半ばということである。プロの通訳、同時通訳になるためには、オリンピックで金メダルを獲得するほどの修練が絶対に不可欠であると思う。

先般、「高級通訳者」になるにはどうすればよいか、というテーマをめぐって、若者たちと対話したことがあるが、その際、私は「中国の政治」についてじっくり勉強することが不可欠である、と力説した。どこの国の外交分野の通訳も、それぞれの国の国益に合った表現に習熟することが必要で、この分野において、いわゆる「個性的な訳」にこだわることはナンセンスであり、落第である。それをベースにして語学のレベルを高めていくこと、これ以外に道はない。

今回の通訳のコンテストに限って言えば、逐語訳のコンテストは一応合格点をつけられるが、同時通訳のコンテストは、実戦の場面ではないので、まだまだ改善の余地がある。実戦の場面では字面だけを追っかける同時通訳は「商品価値」ゼロだと言えよう。表現力、重点のつかみ方、言葉の流れ、いろいろな面で採点されることになる。もちろん、これは大学の演習的情況でのブースではとても解決できる事柄ではない。これは社会に出てから実践でもまれの中で身につけていくしかないだろう。

私は若い頃、言葉の表現力を磨くために、よく新劇の観劇をしたことがある。その時に使っていたオペラグラスを見るたびに当時のことを思い出しているが、いまの若者たちがわれわれ以上のものを構築していくことを願っている。いや、必ずわれわれ以上のものをつくり出していくに違いないと確信している。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年10月20日

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