■メディアの反応 映画のレイティング導入はなぜこんなに難しい?
レイティング制度の導入をめぐり、中国のメディア各社も相次いで評論記事を発表している。「検査日報」は「レイティング制度の導入は本当に難しいのか?」と題する記事を掲載。「中国映画人はレイティング制度の導入を長年訴え続けてきたが、難産の子供のようにいくら力んでも生まれてこない」と指摘した。現行の映画審査制度は日増しに映画製作を抑圧する重大な問題となりつつあると強調している。現在、映画を撮影する若い監督たちにとって最も心配なのは、映画がヒットするかどうかではなく、審査が通るかどうかであるという。国内の才能ある若い監督たちが撮影した映画の多くは中国映画市場から締め出され、国際市場に方向転換せざるを得ない状況にある。
記事は、近年、多くの人が目の当たりにしている無視できない事実として、審査に通らなかった作品が業界内で一様に好評を博していることにも触れている。その中には、ジャ・ジャンクー(賈樟柯)監督の「一瞬の夢」(97)(原題:小武)やジャン・ウェン(姜文)監督の「鬼が来た」(原題:鬼子来了)、リー・ヤン(李揚)監督の「盲井」、ニン・ハオ(寧浩)監督の「無人区」などが含まれる。
また、「中国の審査制度は厳格と言われているが、その厳格さは間違った場所に使われている」と問題を指摘する。「人治による問題は明らかであり、法治の色合いが濃い映画のレイティング制度はつねに、時期が熟していない、他国の制度をそのまま移植できないなどを口実に先送りにされている。これは中国映画界が抱えているジレンマだ」と述べている。
「時代商報」は「社会各界で積極的に呼びかけても、中国の映画等級制はつねに『難産』で生まれない。その理由を中国人固有の道徳観念や時期の不成熟、関連制度の不備などと結び付ける人もいるが、こうした要因を関連部門が行うべきことを行わない言い訳とすることはできない」と指摘。「レイティング制度は映画製作側が主題を選ぶ際にあまり厳しい制約を受けなくてもすむという利点があり、それによって撮影された内容はより豊富になり、より多様化された映画が生まれる。その上、各層の観客たちのニーズを満足させることができる。レイティング制度を実施することは時代の必然的な流れで、関係部門が向き合っているのは、実行できない問題ではなく、いかに実行するかという問題だ」と述べている。