日本の低炭素社会実現のための行動計画と推進策

japanese.china.org.cn  |  2010-09-12

日本の低炭素社会実現のための行動計画と推進策。低炭素社会の構築は、日本が「京都議定書」により定められた温室効果ガス排出削減の義務を履行する有効な方法であり、日本のエネルギー不足を緩和する重要な手段であると同時に、日本の技術革新の推進にも有益である。政府主導の下、技術革新や制度の刷新、意識改革及び国際社会との協力を拠り所として、日本の低炭素社会計画は着実に前へ進んでいる…

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発信時間:2010-09-12 13:41:41 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

吉林大学東北亜(北東アジア)研究院 陳志恒

2008年6月9日、日本の福田康夫首相(当時)は日本記者クラブにて「『低炭素社会・日本』をめざして」というスピーチを行い、「福田ビジョン」と呼ばれた。同年7月、「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定され、「福田ビジョン」は行動に移された。

低炭素社会の構築は、日本が「京都議定書」により定められた温室効果ガス排出削減の義務を履行する有効な方法であり、日本のエネルギー不足を緩和する重要な手段であると同時に、日本の技術革新の推進にも有益である。政府主導の下、技術革新や制度の刷新、意識改革及び国際社会との協力を拠り所として、日本の低炭素社会計画は着実に前へ進んでいる。

(1)政府主導

日本政府は低炭素社会の構築において主導的な役割を果たしている。①政府が計画や目標を策定。福田首相の「福田ビジョン」から麻生首相が再始動させた「太陽光世界一プラン」、08年7月26日に決定された「低炭素社会づくり行動計画」まで、日本政府は低炭素社会の構築を国家戦略の一つに掲げている。②政府が監督管理を実施。日本政府は多層的な省エネ監督管理体制を確立している。第1層は首相が統率する国の省エネ指導グループ、第2層は経済産業省と各地方経済産業局を主とする省エネ指導機関、第3層は省エネ専門機構。③政府が財政・税制上の措置によって牽引。日本政府は特別償却制度、補助金制度、特別会計制度などさまざまな財政・税制上の優遇策を打ち出して低炭素社会の構築を牽引し、企業の省エネ技術の開発や省エネ設備の使用を奨励している。

(2)科学技術の発展と革新

現在までのところ、日本の省エネ環境保護技術は世界を大きくリードしている。太陽光発電設備を例に挙げると、日本は世界最大の輸出国であり、シャープの太陽光発電設備だけでも世界の生産量の3分の1を占める。「低炭素社会づくり行動計画」によれば、日本は2020年までに二酸化炭素回収貯留(CCS)技術を実用化し、太陽光発電の導入量を現在の10倍(2030年には40倍)にすることを目指す。また、2020年から2030年の間に燃料電池システムの価格を現在の10分の1にするとしている。

よって、日本政府は技術革新への資金投入を保証するために、技術開発への民間資本の参入を奨励している。毎年、内閣府の総合科学技術会議が資源配分方針を決定し、環境省などの政府機関はこれに基づいて資金を配分するのである。この枠組みの中で、低炭素技術の革新に今後5年間で300億ドル投入する見込みである。


(3)制度の刷新

①排出量取引制度の試行

同制度は、国内企業は自由意志において削減目標を定めるという原則によって、自ら排出総量を設定できると規定している。例えば、ある企業の排出量が排出上限以下だった場合、余った部分を排出権として売ることができる。一方、上限を超えてしまった企業は、他の企業から排出権を購入することで超過分を相殺できる。もちろん、企業が設定する削減目標は政府に申請して、認可されなければならない。経済産業省は08年10月21日より参加企業の募集を始め、すでに少なからぬ企業が名乗りを上げている。排出量取引制度は最終的に排出総量のコントロールを実現するものになるだろうと予想される。

②トップランナー制度の実施

省エネ商品のトップランナー制度とは、同類の商品の中でエネルギー消費量が最も低いものを「トップランナー」とし、この商品を基準にして、すべての同類の商品に対し指定の期間内にその基準を満たすよう求めるものである。現在のところ、日本では自動車、エアコン、冷蔵庫、湯沸かし器など21品目を対象にトップランナー制度を実施している。

③省エネラベリング制度の推進

省エネラベリング制度とは、エネルギー消費量に基づいて商品上にラベルを貼り、消費者にその商品のエネルギー消費に関する情報を提供するものである。06年4月までに、日本ではエアコン、冷蔵庫、テレビ、コンピュータなど13品目を対象に省エネラベリング制度を実施している。

④カーボンフットプリント制度の普及

カーボンフットプリント制度とは、サービスや商品の生産、輸送から使用後に廃棄されるまでのライフサイクルの各過程で排出された温室効果ガスの量を計算し、表示するものである。経済産業省は08年8月20日、09年度にカーボンフットプリント制度を試行することを決定し、食品、飲料、洗剤などを対象に原料の配分、製造、流通(販売)、使用、廃棄(回収)の5つの過程における温室効果ガスの排出総量を表示するとした。


(4)モデル事業の重視

全国に排出削減の意識を普及させ、都市、交通、エネルギー、生活、ビジネスモデルなどの社会構造を変えるために、日本政府は08年、横浜市、北九州市、帯広市、富山市など人口規模が異なる10都市を「環境モデル都市」に選定した。規定によれば、選定された都市の住民は主に地元で生産された食品を消費し、地元の太陽エネルギー、風力エネルギー、バイオエネルギー、地熱エネルギーなど自然資源を十分に利用するという。

(5)国際社会との協力を強化

第一に、国際エネルギー機関(IEA)や「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」などの国際的及び地域的組織のプラットフォームを十分に利用して、多国間及び2国間の協議や協力を積極的に展開し、関係国との技術提携や経験共有を促進している。

第二に、協力地域をアジアの国々からアフリカなどにまで拡大している。アフリカ諸国の気候変動問題への対応に出資し、援助することを約束している。

第三に、世界の環境保護活動への資金援助を強化している。政府開発援助(ODA)において、環境や気候変動問題への活用の比重を増やし、また、多国間基金を創設して省エネ排出削減を促進しようと積極的に呼びかけている。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月12日

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