他国への輸出は困難が多い
各国の放射性廃棄物を処分する「裏庭」は今にも限界を超えそうな状態である。そんななか、核反対論者と核保有論者のぶつかり合いはますます激化している。特に、現在、世界で一般的に採用されている処分方法は、環境保護を訴える人々の激しい非難を浴びている。
コストと技術には限界があり、多くの国が他国に放射性物質の処理を依頼している。例えば、ドイツは以前、イギリスとフランスに代わりに処理をしてもらっていたし、日本と韓国もフランスに廃棄物を輸送して処分を行った。原子力発電大国のロシアに依頼する国も少なくない。多い国では、毎年200回もロシアに廃棄物を輸送していると言う。
放射性廃棄物の処理を代わりに行う事には、大きなビジネスチャンスが隠れているようだ。最先端の技術力と広大な土地を持つロシアは、ずっと前からこの「美味しそうなケーキ」に目をつけていた。ロシアは世界で唯一、他国の廃棄物を輸入し保管している国である。ロシアのドゥーマ(下院)は2001年には既に、以前は禁止されていた放射性廃棄物の輸入を認める法律の改正を承認している。ロシア政府はこの法改正により、のちの10年間で1万トンの放射性廃棄物を輸入し、再処理及び保管管理することで、約200億ドルに上る外貨を稼ぐことができる。現在、ブルガリア、ウクライナ、ハンガリー、イランなどがロシアの「顧客」である。ロシアに支払われる費用は1キロ当たり300~800ドルとまちまちである。また、国外の原子炉の使用済み燃料を再処理することでも、ロシアは多額の外貨を手に入れている。