ストロンチウムはカルシウムに非常に構造が似ており、生物学では2つの元素を見分けることは非常に困難だ。また、原子炉の放射性廃棄物と事故によって漏洩した放射性物質の中に含まれているカルシウムはストロンチウムの100億倍で、もっと効率的な方法で区分する必要がある。
クレシー氏の研究では、放射性廃棄物にバリウムを加えたところ、ミカヅキモはバリウムとストロンチウムを結晶化することを発見した。ミカヅキモの細胞には硫黄が豊富に含まれているが、バリウムとストロンチウムは硫黄液への溶解能力が比較的低いことがわかっており、そのため、細胞内に浸透せずに沈殿し結晶化する。ミカヅキモの生存環境のバリウムの量を変えれば、より多くのストロンチウムを吸収することが可能だ。クレシー氏は「大量のバリウムが必要だが、藻の生存環境の硫黄濃度を変えることで細胞に含まれる硫黄の量を変えれば、このプロセスを加速することもできる」と指摘。
藻が放射能で汚染された環境の中で生存できるかどうかについてはまだ調査していない。しかし、この方法が成功すれば、結晶化のスピードも速く、藻が生存している間に充分にストロンチウムを除去できる。クレシー氏は「藻は30分から1時間足らずで結晶化することができる。また、この種類の藻は培養も非常に簡単である」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年4月8日