チェルノブイリの子供たちは今でも年に一度、モスクワやヨーロッパ諸国に赴いて、検査や治療を受けている。子供たちは放射能の被害を受けており、治療こそが命を延ばす術なのだ。
現在のところ、チェルノブイリの被害者は約320万人というのが一般的な認識である。しかし、これに異論を唱える人も多い。WHO(世界保健機関)によると、放射能による死亡者数は9000人、700万人が放射能レベルのやや高い地域に今も住んでいる。また、イギリスの研究者は、「チェルノブイリに関するその他の報告」の中で、チェルノブイリ原発事故の長期的な影響により、約6万6000人が癌で亡くなった可能性が高いと報告した。
現在、チェルノブイリ原発から約80キロ離れた場所では、成人1万1000人と児童2000人が生活している。そこに住む人たちは癌発症率が高く、先天性障害を患ったり、寿命が減少したりする確率も非常に高いことが追跡調査により明らかとなっている。
英国BBCは、ウクライナで心臓病、白内障、精神病を患う人の数が増え続けているのは、放射能漏れと関係があると報道した。
チェルノブイリからわずか177キロ離れた場所に位置するロシアのある村では、放射能の影響で病気を患ったり、死亡したりするだけでなく、多くの村民が精神的苦痛から生きることを放棄している。10年前のある日、24歳の青年が首を吊って自殺したのをきっかけに、5人もの若者が次々と自ら生命を絶った。
ベラルーシの首都ミンスクでは、週末になると、外交官車両がベラルーシを出て、バルト海沿岸国家まで野菜・果物、肉類などの食品を買いに行く光景が見られるという。彼らは放射能を恐れ、現地の食品を食べようとしない。一部の人はベラルーシの水さえも飲もうとしないそうだ。
さらに遠く離れたイギリスにおいても、チェルノブイリ原発事故の影響を受け続けている。チェルノブイリ原発事故から23年経った2009年9月21日、イギリス食品標準局(FSA)は、チェルノブイリ原発事故は今もイギリスの一部の農場に影響を及ぼしていると発表した。該当の農場で飼われている羊は、ここ数十年間、販売が制限され、毎年検査を受けることが義務付けられた。現在、イギリスでは369の農場が制限下に置かれているが、その内の95%以上がウェールズの農場である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年4月26日