気候変動に対応する 中国の政策と行動(2011)

japanese.china.org.cn  |  2011-12-19

気候変動に対応する 中国の政策と行動(2011)。

タグ:気候変動 中国の政策と行動 国務院報道弁公室

発信時間:2011-12-19 12:00:16 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

  中華人民共和国国務院報道弁公室 2011年11月・北京

2011年初版発行

ISBN 978-7-119-07365-1 Ⓒ2011 中国 北京

出版者:外文出版社有限責任公司 外文出版社有限責任公司

中国北京百万荘大街24号 〒100037

サイト:http://www.flp.com.cn

中国国際図書貿易総公司発行 中国北京車公荘西路35号 〒100044 北京P.O.Box399 中華人民共和国にて印刷

目 次

前書き (1)

一、気候変動の軽減 (3)

二、気候変動への適応 (16)

三、基礎的能力の開発 (20)

四、全社会の参加 (27)

五、国際交渉に参加 (31)

六、国際協力を強化 (36)

七、「第12次5カ年計画」期における目標・任務と政策・行動 (41)

八、気候変動国際交渉参加にあたっての

中国の基本的立場 (48)

結びの言葉 (54)

 


前書き

気候変動は国際社会があまねく関心を寄せているグローバルな問題である。近年らい、世界的な気温の上昇、干ばつ、冠水などの極端な気候現象が頻発し、気候変動の影響が日増しに顕在化している。各国が気候変動に手を携えて取り組み、グリーン、低炭素の発展をともに推進していくことは今日の世界の主流となっている。 中国は世界最大の発展途上国であり、人口が多く、エネルギー資源が乏しく、気候条件が複雑、生態環境が脆弱で、工業化と都市化の歴史的任務がまだ完了しておらず、発展は非常にアンバランスである。2010年に1人当たりの国内総生産(GDP)が2万9000元を超えたばかりで、国連の貧困についての基準によると、まだ、億を超える貧困人口が存在し、経済を発展させ、貧困をなくし、国民生活を改善する課題はとても並大抵ではない。同時に、中国は気候変動のマイナスの影響を最も受けやすい国の1つで、グローバルな気候変動は中国の経済社会の発展に対してすでにさまざまなマイナスの影響をもたらし、持続可能な発展にとって大きな挑戦となっている。 中国政府は気候変動の問題を一貫して非常に重視し、気候変動に積極的に対応することを経済社会の発展にかかわる全局的な重要な課題として、経済社会発展の中長期計画に組み入れている。

2006年に、中国は2010年の単位GDP当たりのエネルギー消費を2005年より約20%削減するという拘束的指標を提出し、2007年に発展途上国の中で最初に『気候変動対応国家方案』を制定、実施し、2009年に2020年までに単位GDP当たりの温室効果ガスの排出を2005年より40%~45%削減するという行動目標を確定した。 上述の目標任務を達成するため、中国は「第11次5カ年計画」(以下「十一・五」と略)期(2006年~2010年)に一連の気候変動の軽減と適応をめぐっての重要な政策措置を講じ、目覚しい成果を収めた。2011年に制定、実施した『国民経済と社会発展第12次5カ年計画要綱』(2011年~2015年)は今後5年間のグリーン、低炭素発展の政策面での方向づけを確定し、気候変動に対応する目標任務を明確にした。気候変動における国際交渉の中で、中国は一貫して積極的で建設的な役割を発揮し、交渉プロセスの推進に努め、世界の気候変動への対応において大きく貢献してきた。中国が「十一・五」期に気候変動に対応するためにとった政策と行動、それによって収めた積極的な成果および「第12次5カ年計画」(以下「十二・五」と略)期(2011年~2015年)に気候変動に対応する全般的配置と関連ある交渉における立場を国際社会に十分に知ってもらうため、とくにこの白書を発表することにした。

 


一、気候変動の軽減

「十一・五」期に、中国は経済発展パターンの転換を加速し、産業構造とエネルギー構造の調整、省エネとエネルギー効率の向上、二酸化炭素吸収源の増加などの温室効果ガス排出を抑えるためのいくつかの方途を通じて、いちじるしい成果を収めた。

(一)産業構造の最適化

在来産業を改造しグレードアップする。自動車、鉄鋼などの十大重点産業の調整と振興計画を制定、公布し、『産業構造調整指導目録』を改正し、『一部業種の生産能力過剰と重複建設を抑制し、産業の健全な発展を導くための若干の意見』を打ち出した。エネルギー多消費業種の市場参入の基準を引き上げ、固定資産投資項目に対して省エネ評価と審査を行い、在来産業の技術改造とグレードアップを強化し、企業の合併・再編を促し、輸出還付税政策を調整し、石炭、一部非鉄金属、ビレットと化学肥料などの製品に対して輸出関税を課し、エネルギー消費や排出が多い製品と資源型製品の輸出を抑えている。立ち遅れた生産能力の淘汰を加速している。「上大圧小」(小型発電ユニットを、効率のよい、省エネの大型火力発電ユニットに切り換える政策)の実施により、累計で7682万キロワットの小型火力発電ユニットを閉鎖・操業停止し、製鋼7200万トン、製鉄1億2000万トン、セメント3億7000万トン、コークス1億700万トン、製紙1130万トン、ガラス4500万ケースの立ち遅れた生産能力を淘汰した。電力業では30万キロワット以上の火力発電ユニットの火力発電ユニット容量に占める比率は2005年の47%から2010年の71%に増え、鉄鋼業では1000立方メートル以上の大型高炉の銑鉄生産能力の比率が48%から61%に増え、電解アルミニウム業においては大型前焼成電解槽の生産能力の比率が80%から90%以上に増えた。鉄鋼、セメント、非鉄金属、機械、自動車などの重点業種の集中度があきらかに高まり、重点業種のエネルギー消費レベルは目に見えて減少した。2005年から2010年までに、火力発電の電力供給1キロワット時当たりの石炭消費量は370グラムから333グラムに減って、10%減となり、鉄鋼1トン当たりの総合エネルギー消費量は694キログラム標準炭から605キログラム標準炭に減り、12.8%減で、セメントの総合エネルギー消費量は24.6%、エチレンの総合エネルギー消費量は11.6%、合成アンモニアの総合エネルギー消費量は14.3%減となった。 戦略的新興産業を育て発展させる。『戦略的新興産業の育成と発展の加速に関する決定』を制定、公布し、戦略的新興産業を育成し発展させるための全般的構想、重点任務と政策措置を明確にした。戦略的新興産業の重点分野を選び、いくつかの大きなプロジェクトを実施し、一連の重要なプロジェクトを建設した。国のイノベーションシステムの構築を速め、知識と技術におけるイノベーションプロジェクトを実施し、重要な技術の難関突破に力を入れている。新興産業へのベンチャー投資計画をスタートさせ、ベンチャーキャピタル投資ファンドを20社設立し、資源節約型の環境にやさしい、新エネルギーなど戦略的新興産業分野の革新型企業の成長をサポートしている。2010年に中国のハイテク製造業の生産高は7億6000万元に達し、世界で2位となり、2005年に比べて倍以上増えた。 サービス業の発展を加速させる。『サービス業発展加速に関する若干の意見』、『サービス業発展加速に関する若干の政策措置の実施意見』などの重要な文書を制定、実施し、生産的サービス業と生活関連サービス業の発展を大きく推し進めている。また『ハイテクサービス業発展加速に関する指導的意見』を公布した。2005年から2010年までに、中国のサービス業の増加額は年平均で11.9%増え、GDPの年平均伸び率を0.7ポイント上回り、サービス業の増加額のGDPに占める比率が40.3%から43%に上昇した。

 


(二)エネルギーの節約

目標責任の考課を強化する。省エネを実行するうえでの目標責任を細分化し、統計・監測・考課システムを構築し、全国31の省クラスの政府と1000社の重点企業における省エネ目標の達成状況と省エネ措置の実施状況に対する定期的な評価・考課を行っている。2010年には、全国18の重点地区において省エネ・排出削減の特定項目の監督審査を推し進め、厳格な目標責任の考課と問責を行い、全国の省エネ目標達成を促進した。 重点分野の省エネを推し進める。工業ボイラー(窯炉)の改造、コージェネレーション、電気機械システムの省エネ、余熱・余圧利用などの十大重点省エネプロジェクトを実施し、1000社の企業における省エネ活動を展開し、重点エネルギー消費企業へのエネルギー管理を強化し、エネルギー監査とエネルギー効率のベンチマーク活動を推し進めている。「自動車、船舶、道路、港」に関わる1000社の企業の低炭素交通運輸特定行動をくり広げ、都市の公共交通の発展に力を入れている。新規建築における強制的な省エネ基準の執行率を引き上げ、既存建築物の省エネ改造を加速し、再生可能エネルギーの建築における応用を押し広め、政府機構のオフィスに対する省エネ改造を行っている。2010年末までに、全国の都市部の新規建築の設計段階における強制的な省エネ基準の執行の割合は99.5%で、施行段階における強制的な省エネ基準の執行の割合は95.4%となっている。「十一・五」期に、累計で48億5700万平方メートルの省エネ建築物を建設し、標準炭換算で合わせて4600万トンのエネルギーを節約した。小売業の省エネ行動をくり広げ、レジ袋の生産、販売、使用を制限し、商品の過剰な包装を抑えている。 省エネ技術と省エネ製品を普及させる。3回にわたって115項目の国家重点省エネ技術普及目録を公布し、鉄鋼、建材、化学工業などの業種における7項目の省エネ技術を重点的に押し広めている。省エネ製品利民プロジェクト(中央財政の補助で販売価格を調整、消費者に着実に恩恵を与える)を実施し、財政補助金によって高効率照明製品、高効率エアコン、省エネ電機などの省エネ製品を普及させ、中央財政補助金のサポートにより高効率照明製品3億6000個、高効率エアコン3000万台、省エネ自動車100万台が広く利用され、通年で200億キロワット時の省エネを実現した。省エネ・新エネルギー自動車モデルの普及活動をくり広げ、まず公共サービス分野においてハイブリッドカー、純電気自動車、燃料電池自動車の使用を推し進めている。省エネ製品の優先調達制度を確立し、省エネ製品の政府調達リストを制定し、エアコン、コンピューター、照明など9種類の省エネ製品に対して強制的調達を実行することになっている。「十一・五」期に、純低温余熱発電、新型カソード構造のアルミニウム電解槽、高圧インバータ、レアアース永久磁石モーター、プラズマオイルレスイグニッションなど一連の高効率省エネ技術が広く応用されるに至り、高効率照明製品市場におけるシェアは67%となり、高効率エアコン市場のシェアは70%に達している。 循環型経済を発展させる。国の「都市鉱山」モデル基地の建設を推し進め、重点都市において使用済みの機械と電力設備、廃旧家電、廃プラスチック、廃ゴムなどの廃棄資源の利用規模、リサイクルと高付加価値利用を推し進めている。大量の工業固形廃棄物の総合利用を推進し、「十一・五」期に、フライアッシュ約10億トン、ぼた約11億トン、製錬廃渣約5億トンを総合利用した。中央の投入サポートによる再製造の産業化プロジェクトの建設を行い、2010年末現在、中国は自動車のエンジン、トランスミッション、ステアリング装置、発電機計25万台(セット)の再製造能力を形成した。 省エネ市場のメカニズムを推し進める。契約型エネルギー管理(EPC)、電力需要側管理、省エネにおける任意取り決めなどの市場メカニズムを積極的に利用し省エネを推進している。2010年に『契約型エネルギー管理推進加速・省エネサービス産業発展促進に関する意見』を公布し、資金によるサポートに力を入れ、税収による扶助政策を実行し、関連会計制度を整備し、金融サービスを改善し、省エネサービス産業へのサポートを強めている。2005年から2010年までに、省エネサービスの会社数は80余社から800余社、そのスタッフ数は1万6000人から18万人、省エネサービス産業の規模は47億元から840億元に増加し、それによる通年の省エネ能力は標準炭換算で60余万トンから1300余万トンに増えたことになる。 関連基準を整備する。厳寒と寒冷、夏は暑く冬は寒い、夏は暑く冬も暖かいという3つの気候区における居住建築物省エネプロジェクトの設計基準、公共建築物の省エネ設計基準と建築物省エネプロジェクトの施工品質検査・規範を整備し、27項目のエネルギー多消費製品におけるエネルギー消費限度額の強制的国家基準、19項目の主要な末端エネルギー使用製品における強制的国家エネルギー効率基準を公布し、15項目の主要な汚染物質排出国家基準を制定し、71項目の環境標識基準を公布し、エネルギー効率ラベル制度を実施する製品リストを打ち出した。 インセンティブ政策を実行する。エネルギーの価格形成メカニズムの改革の推進を速め、成品油の租税改革を実施し、エネルギー多消費業種に対しては電気価格の差別化を実施し、エネルギーを過剰消費する製品に対してはペナルティ電気料金を徴収し、熱供給の計量による料金徴収システムを推し進めている。省エネ・排出削減の特定項目資金を設立し、「十一・五」期に中央財政は累計で2250億元を拠出し、省エネ技術の改造と省エネ製品の普及を重点的にサポートし、標準炭換算で3億4000万トン分のエネルギー節約を実現したことになる。資源税改革を着実に推し進め、輸出還付税制度をたえず完ぺきなものにし、自動車購入税政策を調整し、自動車・船舶税改革を行い、省エネ・節水、資源の総合利用などの面における税制面の優遇政策を打ち出している。高効率、省エネ、低炭素製品に対して輸入税優遇政策を実施している。 諸方面の努力を経て、中国は「十一・五」計画に提起された省エネ目標を達成し、2010年の単位GDP当たりのエネルギー消費は2005年より累計で19.1%減り、それは14億6000万トン以上の二酸化炭素排出削減に相当するものである。「十一・五」期に中国はエネルギー消費の年平均6.6%の伸び率をもって国民経済年平均11.2%の成長を支え、エネルギー消費弾性係数は「第10次5カ年計画」(以下「十・五」と略)時期(2001年~2005年)の1.04から0.59に下がり、エネルギー需給の矛盾を緩和した。

 


(三)低炭素エネルギーの発展

天然ガスなどクリーンエネルギーの発展を加速する。天然ガスの開発に力を入れ、コールベッドメタン(cbm、炭層ガス)、シェールガスなど特殊オイルガス資源の開発利用を推し進め、財政補助金、税制の優遇措置、発電・送電網接続、電気料金の補助金などの政策を打ち出し、炭鉱ガス管理と利用における全般的方案を制定し、石炭のクリーン化利用の推進に力を入れ、炭鉱ガスの利用と地表のコールベッドメタンの開発を導き奨励していく。天然ガスの産出量は2005年の493億立方メートルから2010年の948億立方メートルに増え、年平均で14%伸び、天然ガスの中国エネルギー消費構造に占める割合は4.3%に達した。コールベッドメタンは累計で305億5000万立方メートルを採取し、利用量は114億5000万立方メートルで、1億7000万トンの二酸化炭素排出削減に相当する。 非化石エネルギーを積極的に開発、利用する。国の政策による誘導と資金投入を通じて、水力発電、原子力発電などの低炭素エネルギーの開発利用を強化している。2010年末までに、水力発電のユニット容量は2億1300万キロワットとなり、2005年比2倍となり、原子力発電のユニット容量は1082万キロワットで、建設中の規模は3097万キロワットに達している。風力発電、太陽光エネルギー、地熱、バイオマスエネルギーなどの新しいタイプの再生可能エネルギーの発展をサポートしている。風力発電の送電網アクセスの電気価格政策を整備している。「ゴールデン・サン(太陽光発電)モデルプロジェクト」を実施し、大型太陽光発電所の特許権の入札募集を行っている。農林バイオマス発電の電気料金政策を整備し、バイオマスエネルギー開発に対する財政サポートの力を強め、農村におけるメタンガス施設の建設を強化している。2010年に、風力発電のユニット容量は2005年の126万キロワットから3107万キロワット、太陽光発電のユニット容量規模は2005年の10万キロワット足らずから60万キロワットに増え、太陽光温水器の設置使用面積は1億6800万平方メートルに達し、バイオマス発電のユニット容量は約500万キロワット、メタンガスの年間利用量は約140億立方メートル、全国のメタンガス使用世帯は約4000万世帯、バイオエタノール燃料利用量は180万トンに達し、各種のバイオマスエネルギーの貢献度は標準炭換算で合計1500万トンとなった。

 


 

(四)非エネルギー源で発生した温室効果ガスの排出を抑制

工業生産プロセス、農業生産、廃棄物処理などの分野における温室効果ガス排出の抑制を強化している。石灰石をカーバイド残渣で代替してセメントクリンカーを生産するなどの原料代替技術、高炉の残渣とフライアッシュなどを添加する複合材料によるセメントを生産するなどの製造技術プロセスを応用し、2段階処理法と3段階処理法で硝酸生産プロセスにおける亜酸化窒素の排出を処理すること、触媒分解と熱酸化分解の方法でアジピン酸生産プロセスにおける亜酸化窒素排出を処理すること、HFC―23の回収と除去を行う際の酸化方法などを採用している。牧畜業の生産パターンの転換を速め、農地の作付けと家畜・家禽飼育において発生したメタンと亜酸化窒素の排出を減らしている。土壌の有機質を増加する補助プロジェクトを実施し、わらの農地における再利用、緑肥栽培、有機肥料の使用の増加などの技術を取り入れた面積は累計で3000万ムー(15ムーは1ヘクタール)近く普及している。都市の廃棄物基準を整備し、生活ごみ処理料金徴収制度を実施し、先進的なごみ焼却技術の利用を推進し、埋め立てガスの回収利用を促すインセンティブとしての政策を制定した。炭素の収集、利用と保存の技術の研究と手本としてのモデルを積極的にくり広げている。おおまかな統計によると、2010年末現在、中国の工業生産プロセスにおける亜酸化窒素排出は2005年のレベルにほぼ定着し、メタン排出の増加速度はある程度抑えられている。

 


 

(五)二酸化炭素吸収源の増加

森林の二酸化炭素吸収源を増やす。「三北」(華北、東北、西北)重点防護林プロジェクト・長江中・下流域地区の重点防護林プロジェクト、耕地の樹林復元プロジェクト、天然林保護プロジェクト、北京・天津風砂源対策プロジェクトなどの生態建設プロジェクトを引き続き実施し、植林による二酸化炭素吸収源増加テストをくり広げ、林業の経営と持続可能な管理を強化し、森林蓄積量を増やし、中央財政が造林に拠出する補助基準を引き上げ、1ムー当たりの補助額を100元から200元に引き上げ、中国グリーンカーボンシンク基金会を設立した。現在、中国の人工林保存面積は6200万ヘクタールで、全国の森林面積は1億9500万ヘクタールに達し、森林カバー率は2005年の18.21%から2010年の20.36%に上昇し、森林蓄積量は137億2100万立方メートルに達し、全国の森林・植生の炭素蓄積量は78億1100万トンに達した。 農地と草地の二酸化炭素吸収源を増やす。草原・牧畜地区では草と家畜のバランスをとり禁牧・休牧・画定地域での輪牧などの草原保護制度を実行し、草原での過度な放牧を抑制し、草原の退化を防いでいる。退牧還草(放牧地の草原復元)プロジェクトの実施範囲を拡大し、人工飼育地区と灌漑牧草地帯の整備を強化している。草原の災害予防対策を強化し、草原カバー率を引き上げ、草原における二酸化炭素吸収源を増やしている。2010年までに、全国の保護的耕作技術の実施面積は6475万ムー、機械化されている不耕起栽培面積は1億6700万ムー、わらを機械で粉砕して耕地に戻し再利用する耕地の面積は4億2800万ムーとなっている。

 


 

(六)各地での低炭素発展を積極的に推進

低炭素省・自治区と低炭素都市の試行活動をくり広げる。2010年に国の低炭素省・自治区と低炭素都市の試行を開始し、広東、湖北、遼寧、陝西、雲南の5省と天津、重慶、杭州、厦門(アモイ)、深圳、貴陽、南昌、保定の8市が第1陣の試行地区に選ばれた。現在、各試行省・自治区と都市では低炭素試行活動指導グループが設立され、低炭素試行実施の方案が制定され、地元地区は「十二・五」期と2020年の二酸化炭素の濃度削減目標を提出し、経済発展の中で積極的に発展パターンを転換し、重点的行動の布石を行い、低炭素発展の重点プロジェクト建設を推進し、低炭素産業の発展に力を入れ、グリーン・低炭素発展を推し進めていく。 各地区は低炭素発展の経験を積極的に模索している。北京市は「人文の北京、科学技術の北京、エコ北京」の建設をめぐって、エコ経済、低炭素経済と循環型経済の発展を速め、戦略的新興産業と現代的サービス業の発展に力を入れ、既存の建築物、交通システムの低炭素化改造を進め、低炭素消費と低炭素のライフスタイルを提唱している。上海市はエネルギー構造最適化の推進を加速し、虹橋ビジネス区、崇明島などの地区で低炭素発展実践モデルを推し進め、万博会場エリアの企画、建設、運営のそれぞれの段階において低炭素発展の理念を全面的に実行し、「低炭素万博、省エネ・排出削減」イベントを行った。江蘇省は4つの都市、10のパークと10社の企業で低炭素経済の試行活動をくり広げた。

 


 

二、気候変動への適応

「十一・五」期に、中国は気候変動の科学研究とアセスメントを強化し、法規・政策を完全なものにし、重点分野の気候変動への適応能力を引き上げ、気候変動が経済社会の発展と人民の生活にマイナスの影響を与えることを軽減している。

(一)農業分野

農地水利などのインフラ施設の建設を推進し、農業の総合生産能力を高め、大規模な干ばつ・冠水に見舞われても収穫が確保される基準農地の整備を進め、大型灌漑区における関連施設の増築と大型灌漑排水・揚水ポンプステーションの更新改造をくり広げ、農業灌漑面積を拡大し、灌漑効率を高め、農地の節水技術を押し広め、農業用水料金の総合改革すなわち末端用水路節水改造モデル事業を推し進め、災害対応能力を高めている。農業の気象観測と予警報システムを構築し整備している。生産量が多く、品質が優れ、干ばつ、洪水、高温、病虫害などに耐性のある品種を研究・育成し、優良品種の作付け面積を拡大し、農作物の優良種子の助成にさらに力を入れ、優良品種の育成、栽培、普及の一本化プロセスの推進を速めている。現在、全国の主要農作物の優良品種のカバー率は95%以上にのぼり、優良品種の食糧増収への貢献率は40%前後に達している。

(二)水資源分野

全国水資源総合計画、七大河川流域の洪水予防計画、全国山土石流災害予防計画、全国都市飲料水水源地安全保障計画、全国の主要河川・湖水の生態保護計画などの特定項目計画を策定した。流域管理と水資源調整事業を強化し、「引黄済津」(黄河から導水し天津を救うこと)、「引黄済冀」(黄河から導水し河北省を救うこと)、「引江済太」(長江から導水し太湖を救うこと)などの応急導水プロジェクトを実施し、また黒河、タリム河の生態補水も行っている。最も厳しい水資源管理制度の実行を加速し、水資源の開発、利用、節約、保護の政策システムを整備している。一連の流域洪水予防重点プロジェクトに着工し、基幹水利中枢と重点水源プロジェクトの建設を速いテンポで行っている。水土流失の総合対策を強力に推し進め、水土保持の総合対策面積を23万平方キロメートル完成させている。計画に組み入れられた全国の老朽化した大中規模・重点小規模ダムの安全補強任務を完了させている。農村の飲料水安全保障事業への投入を増やし、2億1000万人の農村人口の飲料水安全保障問題を解決し、国連ミレニアム開発目標(MDGs)の関連目標を6年繰り上げて実現した。

(三)海洋分野

海洋気象観測ネットワークの構築を強化している。海洋観測システム構築の推進を通じて、全国の近海と一部の海洋におけるカギとなる気象要素の観測能力を初歩的に形成し、典型的な海洋の生態センシティブエリアのモニタリングシステムをほぼ構築し、海洋―大気間の二酸化炭素交換量に対するモニタリングシステムの能力レベルを効果的に高めている。全国と沿海の省レベルの海洋機能区画を全面的に制定、実施し、海域の海岸帯と重点的な海島の整備・修復工事を展開している。マングローブ栽培・移植、サンゴ礁の移植保護、海岸湿地の砂浜復元などの海洋生態復元モデルプロジェクトを積極的に推し進めている。高潮、高波、津波や海氷などの海洋災害に対する観測・予警報活動をくり広げ、さまざまな海洋災害による死傷者数と財産の損害が効果的に減少している。海面上昇、海岸侵食、海水浸入、土壌塩害モニタリング、調査、アセスメント事業を推し進め、沿海部の94の潮汐観測所の潮位基準に対して新たに査定を行っている。中国近海の海洋総合調査と評価を推進し、中国の海洋災害における時空分布の特徴を系統的にまとめている。年度ごとに中国海洋環境情況公報、中国海平面公報、中国海洋災害公報を発表し、各種の海洋災害への効果的対応と防御のためのサポートを提供している。

(四)衛生・健康分野

『全国自然災害衛生応急対策案(試行)』を配布し、洪水・旱ばつ災害、気象災害、生物災害など自然災害の衛生応急事業の目標と原則を明確にし、自然災害衛生応急事業メカニズム、対応のクラス別と対応措置を確立し、異なる自然災害の衛生応急事業方案を制定した。『高温・熱中症事件衛生応急対策案(試行)』と『国家環境・健康行動計画(2007~2015年)』を制定した。飲料水の衛生、空気汚染の健康への影響、気候要素に関連する汚染・疾患のモニタリングおよび媒介伝染寄生虫病や水媒介感染病に対する気候変動の影響などの研究を組織してくり広げ、気候変動の環境関連疾病への影響メカニズムを研究し、気候変動適応の政策と措置を研究し制定するための技術的サポートを提供している。

(五)気象分野

気象部門は『天気研究計画(2009~2014年)』、『気候研究計画(2009~2014年)』、『応用気象研究計画(2009~2014年)』、『総合気象観測研究計画(2009~2014年)』を公布、実施し、『中国気候観測システム実施法案』を配布し、中国の気候変動のモニタリング、予測、評価事業を促進している。中国の第1世代の短期気候変動予測に関する非静力学気象モデルシステムを構築し、次世代のグローバルな気候システムモデルを研究開発し、気候変動の食糧安全、水の安全、生態安全、人間の健康・安全などの諸方面に対するアセスメント事業を推し広めている。

 


三、基礎的能力の開発

「十一・五」期に、中国は関連法律法規の体系を健全化し、気候変動対応の管理体制と事業メカニズムを整備し、統計・計算の研究および制度の構築を強化し、科学技術と政策研究のレベルを高め、気候変動の教育・トレーニングを推し進め、能力の開発をさらに強めている。

(一)関連法規と重要な政策文書の制定

関連法律法規を整備する。『再生可能エネルギー法』、『循環型経済促進法』、『省エネ法』、『クリーン生産促進法』、『水土保持法』、『海島保護法』などの関連法律を制定または改正し、『民用建築省エネ条例』、『公共機構省エネ条例』、『干ばつ対策条例』を公布し、『固定資産投資プロジェクト省エネ評価・審査暫定弁法』、『エネルギー多消費型特殊設備の省エネ監督管理弁法』、『中央企業省エネ・排出削減監督管理暫定弁法』などの規則を打ち出した。気候変動対応における立法の前段階研究事業を推進した。 『中国気候変動対応国家方案』を制定、実施する。気候変動対応の方針、主要な分野と重点任務を明確にした。方案の要請に基づき、全国31の省(自治区、直轄市)はいずれも地方の気候変動対応方案の制定が終わり、全面的に組織化し着実に実行する段階に入り、気候変動対応事業は各地の経済社会発展の全体的枠組みにちくじ組み入れられ、地方各クラスの政府の重要議事日程に盛り込まれた。関連部門は海洋、気象、環境保全などの分野における関連行動計画と事業方案を相次いで打ち出した。 一連の重要な政策文書を制定した。『再生可能エネルギー中長期発展計画』、『原子力発電中長期発展計画』、『再生可能エネルギー発展「十一・五」計画』、『省エネ事業強化に関する決定』、『循環型経済の発展加速に関する若干の意見』などの重要な文書を発表した。2007年に公布した『「十一・五」省エネ・排出削減総合活動方案』は省エネ・排出削減の具体的目標、重点分野および政策措置を明確にし、「十一・五」期にくり広げる省エネ・排出削減活動に対して大きな役割を果たした。

(二)管理体制と活動メカニズムの整備

国の気候変動対応指導グループが統一的に指導し、国家発展・改革委員会が管理の一本化をはかり、各関連部門が分担して責任を負い、各地方・各業種が広く参加する気候変動対応管理体制と活動メカニズムを構築し整備した。2007年に、中国は国家気候変動対応指導グループを設立し、国務院総理がグループ長を担当し、関連する20部門のトップをグループメンバーとした。国家発展・改革委員会がグループの具体的な仕事を担当し、2008年に気候変動対応局を設置し、そこが気候変動に対応する仕事を統一的に計画・調整し一本化の管理を行う責任を負っている。中国政府の関連部門は気候変動対応の職能機構と活動メカニズムを相次いで設置し、当該分野における気候変動対応活動の組織が責任を負っている。2010年に、国家気候変動対応指導グループの枠組みの下で調整連係弁公室を設立し、部門間の協調・協力を強め、国家気候変動専門家委員会を調整し充実させ、気候変動対応の方策を決める科学性を高めている。中国各省(自治区、直轄市)は気候変動対応活動指導グループと専門機構を設立し、いくつかの副省クラスの都市と地区クラス都市でも気候変動対応関連の活動機構を設置した。国務院の関連部門は国家気候変動対応戦略研究と国際協力センター、気候変動対応研究センターなどのサポート機構を相次いで設立し、一部の大学、科学研究院(所)に気候変動研究機構が設立された。

(三)統計と計測能力の構築を強化

エネルギーなどの関連統計制度を整備する。『省エネ・排出削減統計・監視・考課に関する実施方案と方法』を配布し、エネルギー消費を計測する制度をさらに整備し、新たに10項目のエネルギー統計制度を構築し、社会各分野のエネルギー消費をほぼカバーした。各地方はエネルギー統計機構の設置と人員配置を整え、エネルギー統計の仕事を強化している。各省(自治区、直轄市)はいずれもエネルギー統計機構を設立し、重点エネルギー消費部門もエネルギー統計と計測の仕事を強めている。重点エネルギー消費部門におけるエネルギー利用状況の報告制度を構築し、重点エネルギー消費部門のエネルギー利用状況の報告活動を規範化している。林業における二酸化炭素吸収源の計測・モニタリング技術マニュアルを制定し、林業の二酸化炭素吸収源の計測・モニタリングシステムの構築を推し進めている。 温室効果ガス排出の計算を強化する。2004年の『国連気候変動枠組み条約』締約国会議(COP)で『中華人民共和国気候変動初期国家情報通報』を提出したのに続き、中国は2005年に温室効果ガスの排出リストと第2回国家情報通報を作成した。中国は温室効果ガスリストのデータベースを構築し、『省クラスの温室効果ガス排出リスト作成マニュアル(試行)』を公布し、省クラスの温室効果ガスリスト作成の仕事を開始し、一連のトレーニングの仕事をくり広げている。

(四)科学技術と政策研究へのサポート能力を増強

基礎研究を強化する。第1次、第2次『気候変動国家評価レポート』を作成した。気候変動と環境の質との関係、温室効果ガスと汚染物質の共同制御、気候変動と水循環メカニズム、気候変動と林業における相応の対策などの研究を展開している。未来の気候変動の動向におけるデータ集を作成し、アジア地域の気候変動予測データ集を発表した。いくつかの海―大気の相互作用・気候変動専門実験室を設置し、数多くの基礎研究を行っている。 気候にやさしい技術の研究開発を推進する。国家ハイテク研究発展計画(「863」計画)と科学技術サポート計画におけるエネルギーのクリーン・高効率利用技術、重点業種工業における省エネ技術と設備の開発、建築物における省エネのカギとなる技術と材料の開発、重点業種のクリーンプロダクションのカギとなる技術と設備の開発および低炭素経済産業の発展モデルとカギとなる技術の集成・応用などの省エネ技術の研究開発をくり広げ、独自の知的財産権を持つ発明特許の取得と大きな成果が見られた。再生可能エネルギーと新エネルギーの開発利用技術、スマート・グリッドのカギとなる技術などの分野における研究開発を推し進めている。温室効果ガスの石油回収率向上による資源化利用と地下貯蔵、塩水層貯留能力に関する評価と安全性、新しいタイプの高効率吸着材料の調製・選別などの研究開発を展開している。「十一・五」期の科学技術サポート計画では気候変動の影響と適応のカギとなる技術研究、典型的な脆弱な区域における気候変動に適応する技術モデルなどの項目の特定テーマの設定を配置し、二酸化炭素排出のモニタリング面において二酸化炭素観測衛星の研究を組織しくり広げている。「863」計画とサポート計画を通じて、主要な農林生態システムの二酸化炭素の固定・排出削減技術の研究とモデル、林業生態建設のカギとなる技術研究とモデル、農業の大きな気候災害のモニタリング・アラームおよびコントロール技術の研究などのプロジェクトを設立した。国家科学技術サポート計画プロジェクトの『重点業種における省エネ・排出削減技術評価と応用研究』を実施している。2010年に国家工程研究(技術)センター、国家工程実験室をそれぞれ288カ所と91カ所設立した。 気候変動戦略と政策研究を強化する。「十二・五」期の気候変動対応の重点任務をめぐって、気候変動対応の長期にわたる戦略を研究し、中国の低炭素発展戦略、全国の気候変動対応のトータルな戦略、二酸化炭素排出量(排出権)取引メカニズム、国内外の気候変動対応の関連法律法規などの研究を推し進めている。中国は気候変動対応の科学技術特定行動を始動し、総経費約1億1000万元を投入し、中国におけるグリーン発展の重要な戦略と技術問題などの関連研究を推進している。

(五)教育・トレーニングの強化

気候変動に関する内容を国家教育システムにちくじ組み込んでいる。中学、高校・大学では環境と気候変動についての教育を強化し、環境と気候変動に関連する専門教科をつぎつぎと設置し、気候変動教育における科学研究基地の建設を強め、気候変動分野のスペシャリスト人材を育成するために積極的な役割を担っている。 指導者や幹部に対して気候変動に関する知識の向上のトレーニングを強化している。グループ学習、講座、報告会などの形で開催することによって、各クラスのリーダーの気候変動への意識と科学的管理レベルを効果的に高めている。中央政府の関連部門は気候変動・持続可能な発展と環境管理の研修やセミナー、気候変動に対応する省クラスの政策決定者の能力開発研修やセミナー、地方政府担当官のクリーン発展メカニズム管理能力開発研修やセミナー、気候変動対応能力を開発する研究討論・研修やセミナー、省クラスの温室効果ガスリスト作成能力開発研修やセミナーなどを実施している。地方政府も気候変動に関連するトレーニング・育成を積極的にくり広げている。

 


四、全社会の参加

中国は気候変動対応の科学的知識を積極的にPRし、民衆の低炭素発展意識を高め、民間組織、メディアなど各方面の積極性を発揮させることを重視し、多種多様な方途と手段をとり、民衆全体の積極的参加と気候変動対応への行動を導いている。

(一)政府の積極的な導き

2008年から、『中国気候変動対応の政策と行動』のマニュアル・レポートを毎年編纂出版し、中国の気候変動対応分野における政策と進展を全面的に紹介している。「省エネPR週間」などのキャンペーンを行い、省エネ・排出削減と気候変動の知識を普及させている。世界環境デー、世界気象デー、アースデー、世界海洋デー、世界ノーカーデー、全国防災減災デー、全国科学普及デーなどのテーマの日を利用して、気候変動の科学的な普及・PR活動を積極的に展開している。北京、天津、貴陽などの地方政府は気候変動、省エネ・環境保全などの分野における大がかりな国際シンポジウム、フォーラムと展示会などを開催することで、世界各国との間で低炭素発展面での経験の交流を深め、民衆の気候変動対応と省エネ・低炭素への意識を強化している。新聞、ラジオ、テレビ、雑誌などの在来のメディアとインターネット、携帯電話などのニューメディアの役割を十分に発揮させ、気候変動対応と省エネ・低炭素における広報教育に力を入れている。

(二)民間組織の積極的な行動

中国国土経済学会は低炭素国土実験区の建設活動をくり広げ、中華環境保護連合会と中国旅行会社協会(CATS)は48カ所の旅行観光地区で初めての全国低炭素観光テスト区をつくり、中国鉄鋼工業協会と中華全国総工会(労働組合)は全国の重点大型エネルギー消費業種である鉄鋼生産設備の省エネ・エネルギー消費削減ベンチマーク活動を推進している。中国省エネ協会などは気候変動・低炭素経済発展メディアハイレベルフォーラムを開催した。中国石炭工業協会、中国非鉄金属工業協会、中国石油・化学工業協会、中国建築材料連合会、中国電力企業連合会などは業種の省エネ企画、省エネ基準の制定と実施、省エネ技術の普及、エネルギー消費の統計、省エネの広報・トレーニングと情報提供などの面において、大きな役割を果たしている。一連の民間公益組織も広報・教育活動を積極的にくり広げ、民衆の気候変動対応の意識を高めている。

(三)マスメディアの強力なPR

中国のマスメディアは気候変動対応と省エネ・低炭素の広報にたえず力をいれている。一連の気候変動と気象災害予防における科学の普及をPRする写真集を編集・出版し、『気候変動に直面』、『地球温暖化』、『気候変動に注目』、『環球同此凉熱』(地球も同じように涼しくなり熱くなる)などの映像番組を制作し、世界の気候変動対応のホットなニュースを随時追跡報道し、中国の気候変動対応の政策、行動と進展を積極的に紹介し、低炭素生活理念をアピールし、社会各界の気候変動に対する理解と認識を深め、中国の気候変動対応の面における努力と収めた成果をはっきりと示している。

(四)民衆の幅広い参加

中国の民衆は実際行動で積極的に気候変動に対応し、買い物袋の持参、紙の両面使用、エアコン温度の抑制、割りばしの不使用、省エネ製品の購買、低炭素外出、低炭素飲食、低炭素住宅などの省エネ・低炭素活動に広く参加し、日常生活の衣、食、住、外出、日用品などの細かいところから、低炭素ライフスタイルの消費方式を実践している。各地の民衆は「アースアワー」の呼びかけに積極的に参加し、毎年3月の最終土曜日の夜に1時間消灯し、地球気候保護への願いをともに表している。1000名の青年の環境友好使者行動などの活動を展開し、政府機関、学校、コミュニティ、兵営、企業、公園、広場などで環境保全理念のPR・説明を行い、低炭素生活を提唱し、グリーン消費を実行している。全国のいくつかの大中都市では、低炭素生活が流行となっており、人びとはシンプルで、低炭素ライフスタイルを追求し始めている。上海、重慶、天津などの都市では「クールチャイナ――全人民低炭素行動」をくり広げ、家庭の二酸化炭素排出の調査と分析を行っている。ハルビンなどの都市では省エネ・排出削減コミュニティ行動を進め、コミュニティ内の家庭、学校、商業サービス部門、政府機関の省エネ・排出削減への参加を働きかけている。中国各地の大学、中学、小学校では低炭素の生活、環境保全を積極的にPRし、いくつかの大学では「グリーン大学」の建設などの目標を提起し、大きな反響を得ている。

 


五、国際交渉に参加

中国政府は世界気候変動の問題を非常に重視しており、このうえなく責任を負う姿勢で気候変動対応の国際交渉に積極的かつ建設的に参加し、各国と気候変動分野におけるさまざまなレベルでの話し合いと対話を強化し、気候変動問題についての各国のコンセンサスの形成を促すことに努め、公平かつ合理的な国際気候変動対応制度の構築を推し進めるために積極的に貢献している。

(一)国連のフレームワークの下での国際交渉に積極的に参加する。

中国は『国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)』と『京都議定書』のダブル・トラック交渉メカニズムを堅持し、締約国が主導、公開透明、広範な参加、話し合いで一致をみる規則を堅持し、国連の枠組みの下での気候変動国際交渉の主なチャンネルの役割を積極的に発揮し、「共通だが差異ある責任」という原則を堅持し、交渉に積極的、建設的に参加し、各国との交流を深め、各国のコンセンサスの結集を促している。 2007年、中国はインドネシアのバリ島で開催された国連気候変動交渉会議に積極的、建設的に参加し、バリ・ロードマップの形成に実質的な貢献をした。中国はこの大会で3つの提案を打ち出し、遅くても2009年末までに交渉で2012年以降の先進国の排出削減目標を確定すること、先進国から発展途上国に資金・技術の移転を提供するという「条約」と「議定書」における規定を確実に実行するなどが含まれ、これは会議に出席した諸国に認められ、また最終的にはそのロードマップの中に組み入れられた。 2009年、中国はコペンハーゲン会議の交渉に積極的に参加し、交渉の膠着を打開し、各国のコンセンサスの形成を推進するためにカギとなる役割を発揮した。中国政府は『バリ・ロードマップを実行する――コペンハーゲン会議に関する中国政府の立場』を公布し、コペンハーゲン会議に関する中国の原則、目標を打ち出し、「条約」の全面的、効果的、持続的な実施をいっそう強化し、先進国の『京都議定書』の第2約束期間における排出削減のさらなる数値目標などの面での立場を表明した。首脳会議に出席した際、温家宝中国国務院総理は、各国がコンセンサスを形成し、協力を強化し、世界が協力しともに気候変動に対応するプロセスを推し進めるよう提唱した。会議で、温家宝総理は各国の首脳と次々と話し合いを行い、『コペンハーゲン協定』の形成を促し、気候変動に関する国際交渉のプロセスの推進にきわだった貢献をした。 2010年、中国はメキシコのカンクン会議の交渉と話し合いに全面的に参加し、交渉のプロセスの公開透明、広範な参画と話し合いによる一致を確固として守り、交渉の各議題に対して建設的な提案を行い、カンクン会議で実質的な成果を収め、交渉を再び正しい道に乗せるために大きな貢献をした。とくに世界の長期目標、『京都議定書』の第2約束期間における発展途上国の削減緩和の「国際的話し合いと分析」および先進国の排出削減約束などの食い違いが比較的大きな問題となっている交渉の中で、各国とコミュニケーション・交流を行い、各レベルで各国と率直に、深く立ち入って考え方を交換し、相互理解を深め、政治的推進力を結集した。「77ヵ国グループ(G77)+中国」(アジア、アフリカ、ラテンアメリカの開発途上国77ヵ国+中国)と「ベーシック(BASIC)4カ国」(中国、インド、ブラジル、南アフリカ)などのメカニズムを生かし、広範な発展途上国との交流と協調を強化し、さまざまなチャンネルを利用し先進国との対話を深め、カンクン会議を順調に開催するために効果的な下地を作った。中国はまた会議主催国のメキシコと密接的にコミュニケーションを行い、有益な提言と全面的なサポートを提供した。2010年10月、カンクン会議が開催される前に、中国は天津で国連気候変動についての交渉会議を1度主催し、カンクン会議で積極的な成果を収めるための基礎を固めた。

 


 

(二)関連する国際対話と交流に積極的に参加する

ハイレベルの指導者による相互訪問と重要会議で交渉のプロセスを推進した。胡錦涛中国国家主席は主要20カ国・地域( G20)サミット、主要8カ国(G8)首脳と発展途上国首脳との対話会議、エネルギー安全保障と気候変動に関する主要な経済国首脳会合、アジア太平洋経済協力機構(APEC)などに出席し、これらの重要な多国間外交活動の中で、何回も重要な演説を行い、国際社会の気候変動対応面におけるコンセンサスの形成を促すことに努め、世界と協力して気候変動に対応するプロセスをともに推進した。2009年9月22日、胡錦涛主席は国連気候変動サミットに出席し、「手を携え気候変動の挑戦に対応しよう」という演説を行い、気候変動に対応する中国の目標、立場と主張を説明し、また国際協力を強化するという願いを表明した。温家宝中国国務院総理が東アジアサミット、中欧工商サミット、アジア欧州会合などの重要な国際会議で、気候変動に対応する国際交流と協力を深めること、グリーン経済を発展させるなどの問題について中国の立場と行動を説明し、気候変動に関する技術と管理の面においての国際協力を強化し、各国がそれぞれの立場に対しての理解を深めるよう呼びかけた。 気候変動交渉に関する国際プロセスに積極的に参加する。国連気候変動大会主催国で開催された閣僚クラスの非公式交渉会合、「エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)」首脳代表会議、ピーターズバーグ気候変動に関する閣僚クラス対話会合、気候変動に関する小島国の閣僚会議、気候技術メカニズム閣僚クラス対話会合、気候変動資金調達に関する国連事務総長のハイレベル諮問グループ、国際民間航空会議、国際連合海事会議および農業温室効果ガスに関するグローバル・リサーチ・アライアンス(GRA)などさまざまな国際的話し合いと交流活動に参加した。中国は政府間の気候変動専門委員会およびその活動グループの活動に積極的に参与し、中国の科学者はこれまで各回のアセスメント・レポートの作成に参与した。 各国との話し合いと対話を強化する。アメリカ、欧州連合(EU)、デンマーク、日本などの先進国と地域との閣僚クラスの話し合いを強化している。他の発展途上国との交流を深め、「ベーシック(BASIC)4カ国」協議メカニズムの確立を推進し、また「ベーシック(BASIC)4カ国+」の方式を通じて、気候変動の交渉プロセスを協調し推し進めている。アフリカ諸国、後発発展途上国、小島国との交流を深めている。中国国家気候変動専門家委員会は他の国の関連シンクタンクとの学術交流対話を積極的に行い、気候変動に関する科学的研究、技術移転、民衆の教育と情報の共有などの面においての国際協力を推し進めている。

 


六、国際協力を強化

中国は「互恵・ウィンウィンで、実践的で効果のある」という原則に基づき各国政府、国際組織、国際機構との実務的な協力に積極的に参加しそれを推進し、国際社会が共同で気候変動対応を促すうえで積極的、建設的な役割を発揮している。2010年3月、中国は『気候変動対応分野の対外提携管理暫定弁法』を公布し、気候変動の国際協力をさらに規範化し促進した。

(一)国際組織との協力を切り開く

関連国際組織・機構との情報交流、資源の共有と実務的な協力を強化し、一連の協力研究に関する取り決めに調印し、一連の研究項目を実施し、気候変動に関する科学テーマ、緩和と適応、対応政策と措置などの内容を実施し、主に次のものが含まれる。国連開発計画(UNDP)、世界銀行(WB)、欧州投資銀行(EIB)、とのプロジェクト協力を行い、アジア開発銀行(ADB)、炭素隔離リーダーシップフォーラム(CSLF)、二酸化炭素回収・貯留(CCS)研究会と二酸化炭素の回収、利用と貯留分野における関係協力を展開し、地球環境ファシリティ(GEF)と中国技術需要評価プロジェクト協力を行い、エネルギー協会と温室効果ガスリストの作成能力開発および関連する政策、テクニカル・ロード研究、気候変動立法の研究などを展開した。中国は関連する国際科学技術協力計画に積極的に参与し、たとえば地球システム科学パートナーシップ(ESSP)の下での世界気候研究計画(WCRP)、地球圏-生物圏国際協同研究計画(IGBP)、地球環境変化の人間社会的側面国際研究計画(IHDP)、地球観測に関する政府間会合(GEO)、全球気候観測システム(GCOS)などがそれであり、関連研究成果は中国の気候変動対策の制定に有益な参考となった。

(二)先進国との実務的な協力を強化する

中国はアメリカ、EU、イタリア、ドイツ、ノルウェー、イギリス、フランス、オーストラリア、カナダ、日本などの国および地域と気候変動分野における対話と協力メカニズムを構築し、関連共同コミュニケ、了解覚書きと協力取り決めなどに調印し、気候変動を二国間協力の重要な内容としている。中日省エネ・環境保全の協力を推進し、アメリカとの建築物省エネ、クリーンコール・炭素回収・貯留(CCS)、クリーンエネルギー自動車などの3つの優先的な分野で共同研究を行い、ドイツと電気自動車分野において科学技術の深いレベルでの協力を展開し、オーストラリアとの間で二酸化炭素の地質学的貯留(ジオロジカル・ストレージ)での協力、イタリアとの間でクリーンエネルギー・炭素の回収・貯留技術においての協力、EUと建築エネルギー効率・品質での協力、イギリスとのグリーン建築とエコ都市の発展での協力、カナダとの現代木構造建築技術で気候変動に対応する協力、スウェーデンとの都市部と農村部の持続可能な発展の分野での協力を行っている。

(三)発展途上国との実務的な協力を深める

南アフリカ、インド、ブラジル、韓国などの国と関連共同コミュニケ、了解覚書きと協力取り決めなどに調印し、気候変動協力メカニズムを確立し、気象衛星による監測、新エネルギー開発利用などの分野での協力を強化し、発展途上国にクリーンエネルギーと環境保全200項目の建設を支援した。科学技術における協力を強化し、100の中国・アフリカ科学技術共同研究モデルプロジェクトを実施した。農業分野での協力を強化し、農業モデルセンターの建設を支援し、農業技術専門家を派遣し、農業技術者を育成し、アフリカの食糧安全保障能力を高めることにしている。人的資源開発における協力を重視し、85の対外援助育成・トレーニング項目を実施した。2008年12月、中国はジブチでクリーン開発メカニズムと再生可能エネルギー研修セミナーを行った。2009年6月、北京で気候変動に対応する発展途上国担当官研修セミナーを行った。その年の7月、また北京でアフリカからの担当官と学者に対する発展途上国気候および気候変動国際ハイレベル研究セミナーを行った。2010年に、合わせて19回の気候変動とクリーンエネルギー国際研究セミナーをアレンジし、支援対象国のために548人の担当官と専門スタッフを育成した。中国はまた南太平洋、カリブなど地域の小島国にサポートと援助を提供し、前後して太平洋の島嶼国の130余項目の建設を支援し、発展途上国が気候変動対応に力の及ぶ限りの援助を行い、その気候変動を緩和させ、適応する能力を高めることに努めている。

(四)クリーン開発メカニズムプロジェクトの協力を積極的に展開する

中国でクリーン開発メカニズムプロジェクトを秩序整然と行うため、2005年に中国は『クリーン開発メカニズムプロジェクト運行管理弁法』を制定し、公布し、実施した。2010年、クリーン開発メカニズムプロジェクトの開発と審査・検証の効率を高めるため、その管理弁法に対して改正を行った。関連能力の開発の推進に力を入れ、クリーン開発メカニズムプロジェクトの開発を推し進める能力を高めた。毎年専門家を組織し、送電網計測(BOINC)基準線位置決め因子を計算し、情報を即時に公布し共有することにしている。2011年7月現在、中国はすでに3154のクリーン開発メカニズムプロジェクトを批准し、それは主に新エネルギーと再生可能エネルギー、省エネとエネルギー効率向上、メタンの回収利用などの面に集中している。そのうち、1560のプロジェクトはすでに国連クリーン開発メカニズム執行理事会に成功裏に登録され、世界登録プロジェクト全体の45.67%を占め、登録されたプロジェクトで検証された認証排出削減量(CER)の年間取り引き量は約3億2800万トンの二酸化炭素に相当し、世界総量の63.84%を占めるもので、『京都議定書』の実施のためにサポートを行った。

 


七、「第12次5カ年計画」期における

目標・任務と政策・行動

「十二・五」期に、中国は世界気候変動に積極的に対応することを経済社会発展の重要な任務の1つとし、科学的発展をテーマとし、経済発展パターンの急速な転換を主なやり方とすることを堅持し、グリーン、低炭素の発展理念を確固として打ち立て、気候変動に積極的に対応することを経済社会発展の重要な戦略とし、経済構造を調整し経済発展パターンを転換する重要なチャンスとし、新しいタイプの工業化の道を歩むことを堅持し、エネルギー消費総量を合理的に抑制し、産業構造とエネルギー構造の最適化、省エネ・エネルギー効率の向上、二酸化炭素吸収源の増大などさまざまな方法を総合的に運用し、温室効果ガスの排出を効果的に抑制し、気候変動に対応する能力を高め、気候変動分野における国際協力を広く行い、経済社会の持続可能な発展を促進する。

(一)主な目標

2009年のコペンハーゲン会議の開催前に、中国政府は2020年までに単位GDP当たりの温室効果ガス排出を2005年より40%~45%引き下げる目標を発表し、またそれを拘束性指標として国民経済・社会発展の中長期計画に組み入れた。2011年3月、中国の全国人民代表大会で採択された『中華人民共和国国民経済・社会発展第12次五カ年計画要綱』は、「十二・五」期に気候変動に対応する中国の拘束性目標を打ち出した。即ち、2015年までに、単位GDP当たりの二酸化炭素の排出量を2010年比17%、単位GDP当たりのエネルギー消費比率を2010年比16%に減らし、一次エネルギー消費に占める非化石エネルギーの比率を11.4%にし、森林面積を新たに1250万ヘクタール増やし、森林カバー率を21.66%に引き上げ、森林蓄積量を6億立方メートル増やす。これは中国政府の低炭素の発展、気候変動に積極的に対応する決意を表すものである。

(二)政策行動

以上の目標と任務をめぐって、「十二・五」期に、中国は11の面で気候変動対応に関する活動に重点的に取り組む。 一、法の整備と戦略計画を強化する。中国全国人民代表大会常務委員会の採択した『気候変動に積極的に対応することに関する決議』の要求に基づき、専門的な気候変動対策法を検討し制定し、また気候変動に対応する活動の需要に基づき、関連法律、法規、条例、基準などに対して改正を行う。中国の低炭素発展戦略、気候変動に適応する全体的な戦略的研究を展開し、気候変動対応および温室効果ガス排出抑制の技術発展ロードマップを打ち出した。これから先10年間の気候変動に対応する活動を指導するために、『中国気候変動対応国家プラン(2011~2020)』の作成を行った。 二、経済構造の調整を加速する。政策調整と体制革新を通じて、産業の最適化とグレードアップを推し進め、経済発展パターンの転換を加速する。エネルギー多消費、高排出の業種の加速度的な成長を抑制し、立ち遅れた生産力を淘汰するための取り組みを大きくし、現代サービス業の発展に力を入れ、戦略的な新興産業を積極的に育成し、低炭素技術の開発・研究と製品の普及を加速し、低炭素を特徴とするエネルギー、工業、交通、建築のシステムをちくじ形成する。 三、エネルギー構造を最適化しクリーンエネルギーを発展させる。エネルギー消費総量を合理的に抑制し、エネルギー発展計画を制定し、総量抑制目標と実行メカニズムの実行を明確にする。クリーンコール技術の発展を加速し、石炭のクリーン生産と利用を強化し、天然ガス生産量の急速成長を促し、コールベッドメタン、シェールガスなど特殊オイルガス資源の開発利用を推し進め、原子力を安全かつ効果的に発展させ、実情に応じて水力エネルギー、風力エネルギー、太陽光エネルギー、地熱エネルギー、バイオマスエネルギーなどの再生可能エネルギーの開発を加速する。 四、省エネ重点プロジェクトを引き続き実施する。ボイラー・窯炉の改造、電機システムの省エネ、エネルギーシステムの最適化、余熱余圧の利用、石油の節約 ・代替、建築物省エネ、グリーン照明などの省エネ改造プロジェクト、および省エネ技術産業化モデルプロジェクト、省エネ製品恵民プロジェクト、契約型エネルギー管理普及プロジェクトと省エネ能力開発プロジェクトなどの重点省エネプロジェクトを実施し、工業、建築、交通などの重点分野と重点業種の省エネを推し進め、エネルギー利用の効率の向上に力を入れる。 五、循環型経済の発展に力を入れる。低炭素発展戦略とその他の資源環境政策をさらに統一的に計画し協調し、循環型経済技術の開発、試行の普及と能力開発をサポートし、資源産出率を高めることに力を入れる。循環型経済発展のトータルな計画を作成し、循環型経済モデルの試行を深化させ、循環型経済発展を反映する評価指標と統計制度の確立を加速し、循環型経済技術と市場メカニズムで重点企業、産業パーク、都市を生態化させる。 六、低炭素の試行を確実に推し進める。試行を実施する省・自治区と都市を組織し、低炭素発展計画を作成させ、地元の特色のある低炭素発展モデルを積極的に模索し、低炭素の発展に役立つ政策システムと体制・メカニズムを率先して形成させ、低炭素を特徴とする産業システムと消費パターンの確立を加速する。低炭素産業パーク、低炭素コミュニティと低炭素商業試行モデルの展開を組織する。 七、二酸化炭素排出権取引市場をちくじ確立する。国際二酸化炭素排出権取引市場の整備の経験を参照し、中国の国情と結びつけ、二酸化炭素排出権取引市場の整備をちくじ推し進める。排出量の自発的削減取引と排出権取引の試行を規範化することで、二酸化炭素排出取引価格の形成メカニズムを完全なものにし、多くの省・自治区をまたぐ二酸化炭素排出権取引システムをちくじ確立し、資源配置の最適化における市場メカニズムの基礎的な役割を発揮し、最低限のコストで温室効果ガスの排出抑制目標を達成する。 八、二酸化炭素吸収源を増やす。植林の推進に力を入れ、「三北」(東北、華北、西北)重点防護林プロジェクトと長江中・下流地域などの重点防護林プロジェクト、「退耕還林」(耕地の林地復元)プロジェクト、天然林保護プロジェクト、北京・天津地区風砂源対策プロジェクトおよびカルスト地域石漠化総合対策などの生態保護項目を引き続き実施する。都市の緑化植林の展開にさらに力を入れ、都市の森林生態障壁の建設を加速する。二酸化炭素吸収源植林の試行を行い、二酸化炭素吸収源林業の健全で、秩序のある発展を促進する。耕地の保護的耕作と「退牧還草」(放牧地の草原復元)などのプロジェクトを引き続き実施し、耕地と草地の二酸化炭素吸収源を増やす。 九、気候変動に適応する能力を高める。極端な気候で発生した事態の対応能力の向上を重視し、農業、林業、水資源、医療衛生・健康などの重点分野と沿海、生態の脆弱な地域の気候変動適応レベルを高める。農林業の気候変動適応政策・措置を研究し制定し、食糧の安全と生態安全を保障する。水資源を合理的に開発し、その配置を最適化し、各項目の節水政策と措置を強化する。海洋と海岸の生態システムの監視と保護を強化し、海洋災害に抵抗する沿海地域の能力を高める。極端な気象災害に対応する応急対策予備案、始動メカニズムおよび多種類の災害に関する予警報メカニズムを完全なものにする。 十、能力の開発を引き続き強化する。温室効果ガス排出の基礎的な統計制度を確立し、再生可能エネルギー、エネルギー供給と消費に対する統計を強化する。科学技術によるサポートを強め、カギとなる低炭素技術の自主的研究開発を推し進め、低炭素技術のモデルと普及に努める。気候変動対応人材の育成に役立つ体制メカニズムをさらに完全なものにし、人材陣の資質を引き続き向上させる。さまざまなマスメディアを通じて、気候変動対応の知識を広くPRし普及させ、低炭素消費を積極的にアピールする。 十一、国際協力を全方位展開する。先進国との交流と対話を引き続き深め、気候変動に対応する南南協力を全面的に始動し、気候に対応する能力の開発と育成を展開し、気候変動適応の技術協力プロジェクトを実施し、省エネ、節水、新エネルギー製品と施設の普及・寄贈を組織し、発展途上国の気候変動対応に確実なサポートを提供し、トータルな計画の指導、特定経費のサポート、成熟した安定的人材陣をつくり上げ、緩和、適応、技術移転、能力開発などの各分野を効果的にカバーする総合的な対外交流と協力システムをちくじ形成する。 2011年に、中国政府は『「十二・五」省エネ・排出削減総合的作業案』、『「十二・五」温室効果ガス排出抑制作業案』などを公布し、「十二・五」期において省エネ・排出削減と温室効果ガスの排出抑制に全面的な配置を行った。

 


八、気候変動国際交渉参加にあたっての中国の基本的立場

中国は気候変動に関する国際交渉に積極的かつ建設的に参加し、「条約」(国連気候変動枠組条約)と「議定書」(京都議定書)のダブル・トラック交渉メカニズムを堅持し、「共通だが差異ある責任」の原則を堅持し、気候変動に関する国際交渉の進展を促進している。2011年11月末から12月初めに、国連気候変動会議が南アフリカのダーバンで開催されることになっており、ダーバン会議は2010年のカンクン会議で各国が達成したコンセンサスを実行し、関連メカニズムの具体的な手配を確定し、またカンクン会議で解決に至らなかった問題について交渉を続け、すでに達成されたコンセンサスを踏まえて積極的な成果を上げるべきだと中国は考えている。

(一)気候変動国際交渉参加にあたっての中国の原則と立場

国連気候変動ダーバン会議がバリ・ロードマップの要求に基づき積極的な進展をとげることを促進するため、中国政府は次の原則と立場を堅持している。 一、「条約」と「議定書」の基本的な枠組みを堅持し、バリ・ロードマップの授権を厳格に順守する。「条約」と「議定書」は世界が気候変動対応において協力する基本的な枠組みと法律的基礎であり、国際社会のコンセンサスを形成し、バリ・ロードマップを実行するよりどころと行動の指針である。「条約」と「議定書」の全面的で、効果的に、持続的な実施を強化するために、バリ・ロードマップは、第2約束期間において先進国が排出削減指標のさらなる数値指標化を確定し、また緩和、適応、技術移転、資金のサポートなどに対して相応の手配を行うことを求めている。 二、「共通だが差異ある責任」の原則を堅持する。先進国がこれまでの200余年の工業化の過程で排出した数多くの温室効果ガスは、現在世界の気候変動を起こしている主な原因であるため、率先して排出を大幅に削減する歴史的な責任を負うべきである。現実的な能力から見れば、先進国に強大な経済力があり、先進的な低炭素技術を把握している。一方、発展途上国は気候変動に対応する資金力と技術手段に事欠くほかに、経済発展、貧困撲滅、気候変動対応などのいくつかの困難な任務に直面している。したがって、先進国が率先して排出を大幅に削減し、同時に発展途上国に資金を提供し、技術を移転すべきである。発展途上国も経済発展と貧困撲滅の過程で、先進国のサポートの下で自国の国情に基づき、気候変動に適応し、緩和する積極的な措置をとらなければならない。 三、持続可能な発展の原則を堅持する。現在の発展は次の世代の発展能力を損なってはいけない。持続可能な発展の枠組みの下で、経済発展、貧困撲滅、気候保全を統一的に考慮し、グリーン、低炭素な発展を積極的に推し進め、経済社会の発展と気候変動対応のウインウインを実現する。 四、緩和、適応、資金、技術などの問題について統一的な計画を堅持する。気候変動を緩和し、適応することは気候変動に対応する2つの有機的な構成部分であり、ともに重視しなければならない。緩和は相対的に長期的、極めて困難な任務であり、そして適応は発展途上国にとってとくに現実的で、差し迫ったものである。資金と技術は気候変動の緩和と適応を実現するうえでの不可欠の手段であり、先進国から発展途上国への資金、技術移転と能力開発のサポートは発展途上国が気候変動に効果的に対応するうえでの根本的な保証である。 五、国連が気候変動の交渉を主導する原則を堅持し、「話し合いによる一致」の政策決定メカニズムを堅持する。「条約」と「議定書」の交渉プロセス以外の非公式な交渉や小さな範囲での交渉を通じて、「条約」と「議定書」の交渉における焦点となる問題を検討し、交渉の進展を推し進めることに対して、中国は反対はしないが、上述の会議はいずれも「条約」と「議定書」の交渉プロセスの補足であり、それに取って代わるものではないとみている。「話し合いによる一致」の原則は『国連憲章』の重要な基本的趣旨であり、国連全体と長期の利益に適い、政策決定の民主性、権威性と合法性を強化するうえで重要な意味をもっている。したがって、「話し合いによる一致」の政策決定メカニズムを堅持しなければならず、交渉プロセスの公開、透明と広範な参加を確保する前提の下で、適当な方式で活動の効率を高めなければならない。

(二)ダーバン会議における所期の成果

ダーバン会議では次の3つの面で具体的な成果を上げるべきであると中国はみている。 一、先進国が『議定書』の第2約束期間に大幅な絶対的数値化排出削減の手配を行うことを明確にする。『議定書』は「バリ・ロードマップ」のダブル・トラック交渉メカニズムの中の一方面、その第1約束期間は2012年末に終了する。『議定書』の第1、第2約束期間において空白が現れないというカンクン会議の要求を実行するため、第2約束期間に『議定書』先進国の排出削減の手配をできるだけ早く定めるべきであり、これはダーバン会議の最も差し迫った任務であり、ダーバン会議の成り行きと直接に関係するものである。 二、『議定書』に調印しなかった先進国が「条約」の下で、他の先進国が『議定書』の下で不変な排出削減の約束を守ることを明確にする。「バリ・ロードマップ」の要求によって、『議定書』に調印した先進国が『議定書』の下で排出削減の指標を受け入れ、『議定書』に調印しなかった先進国も「条約」の下で『議定書』に調印した先進国と不変な排出削減の努力を引き受けなければならず、この不変性は排出削減の性質、範囲と約束メカニズムなどを含むものである。この状況の下で、発展途上国も持続可能な発展の枠組みの下で、先進国の資金と技術移転のサポートにおいて積極的な緩和行動を展開しなければならない。多くの発展途上国はすでに2020年までの自発的排出削減の行動目標を打ち出し、先進国が「条約」と「議定書」の第2約束期間においてそれぞれ2020年までに国際法的拘束力のある排出削減指標を受け入れる状況の下で、「共通だが差異ある責任」の原則に基づき、適当な法律形式で発展途上国の緩和行動を明確にし、発展途上国の排出削減の努力を認可することにしている。 三、適応、資金、技術移転と能力開発の面においてのメカニズムの手配を細分化し実行し、先進国と発展途上国との区別の「3つのできること」(測量できる、報告できる、確かめることができること)と透明度の具体的な手配を細分化し具現する。現在、ほとんどの発展途上国が自らの力が及ぶ範囲で気候変動対応の積極的な行動をとり、世界の気候変動に重要な貢献をしている。しかし国際社会から発展途上国への資金と技術移転の面における効果的なサポートは依然として足りない。効果的なメカニズムを確立し、また発展途上国に新たな、規定以上の十分な資金と技術移転のサポートを提供してこそ、発展途上国ははじめて緩和行動と適応行動を効果的に展開できる。『カンクン会議』は「3つのできること」と透明度に関する原則を明確にし、中国はダーバン会議で先進国の排出削減の約束、その発展途上国に対する資金、技術移転と能力開発をサポートする上での「3つのできること」、発展途上国の自発的緩和活動と「国際的話し合いと分析」問題で行った具体的な手配をサポートし、こうした手配も先進国と発展途上国の間の「共通だが差異ある責任」の原則を十分に具現するものである。

 


結びの言葉

工業化と都市化を推し進める過程で、中国は気候変動によって引き起こされた厳しい挑戦をはっきりと見て取っている。責任のある発展途上の大国として、中国は基本的国情と発展段階の特徴から出発して、持続可能な発展の道を揺るぐことなく歩み、世界の気候変動に対応するためにより大きな貢献をするものである。 中国は気候変動に関する国際交渉のプロセスを引き続き積極的に推進し、国連気候変動の交渉会議に積極的に参加し、まもなく開催されるダーバン会議で、バリ・ロードマップの実行に関する交渉の面で全面的に、バランスのとれた成果を上げるよう、「条約」と「議定書」の全面的、効果的、持続的な実施を強化することにおいて公平、合理かつ効果的な手配を行うことを支持している。中国は国際社会とともにダーバン会議が、積極的な成果を上げるためによく努力することを願っている。

 

中華人民共和国国務院報道弁公室 2011年11月・北京

 

2011年初版発行

ISBN 978-7-119-07365-1 Ⓒ2011 中国 北京

出版者:外文出版社有限責任公司 外文出版社有限責任公司

中国北京百万荘大街24号 〒100037

サイト:http://www.flp.com.cn

中国国際図書貿易総公司発行 中国北京車公荘西路35号 〒100044 北京P.O.Box399 中華人民共和国にて印刷

 

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年12月19日

 

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