原野氏も同様の見解を示している。
「人類の地球内部の観測と予測能力はまだ不十分で、地球内部の活動の周期性を把握できていない。海底地震の質量移動により海面に波が発生し、津波が沿岸に伝わり低地帯が広範囲にわたり水没し、津波被害につながる。観測所の観測密度が低い、観測時間が短いなどの要因は人類の津波に対する理解を制約している」と原野氏は話す。
原野氏によると、インドネシアには5万キロメートル以上の海岸線があり、維持費不足と漁民による破壊により22個の津波観測ブイが作動しなかった。潮流観測所には137個しかなく、使用できるものはそれ以下で、平均して300キロに1個しかない。今回の津波で深刻な被害を受けたマカッサル海峡の一部海岸線には2カ所の潮流観測所しかなく、管理も不十分で、うち1カ所は長期的にデータを提供しておらず、もう1カ所も津波を観測していない。最も近くで使用できる潮流観測所は震央から300キロ離れた場所にある。そのため、地震発生後1時間も経たないうちにインドネシア国家津波警報機関は警報を解除した。
原野氏は、陸地の地震による影響は「証拠」を見つけることができるが、海での地震は遠隔観測や逆解析などで発生地の情報を確認するしかないため、観測データは特に重要となると考える。
米国、オーストラリア、チリ、ロシアなどは世界に60個以上の津波観測ブイを設置し、30個以上が太平洋に集中している。中国は南中国海に2個設置している。しかし原野氏は、データ共有を強化することで地震と津波の観測能力を大幅に向上させることができるとの見解を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年10月21日