話がややこしくなってしまいましたね。そうなんです、これが僕が外交の話題を各論として扱うことを避ける理由なんです。実際上、多層・多元・動態外交については客観的、科学的に語ることが出来ずに各プレーヤーの所属するヒエラルキーの「思い」だけが先行してしまうことになります(全く科学的でない導出法になってしまいます)。よって、現代の外交は、多層・多元・動態外交であって、理論的分析ができないというのが僕の結論です(少なくとも、現代の経営・経済・政治といった主な社会科学のテクノロジーではその複雑性を科学分析するまでに至ってないです)。
そうした前提で、今話題になっている問題に話を適用してみましょう。つまり、僕が最も「是」とする客観的分析が出来ない中での「考え」、僕の「思い」だけという前提です。そして、尖閣諸島問題・釣魚島事件についてです(ようやく各論がでました!)。
僕が「考える」には、この事件について、現在のところのイニシアチブを勝ち得ているのは、少なくとも政局で混乱している日本政府ではないでしょう。また、僕が属するプレーヤー(イニシアチブを目指す立場)としては日本国民(という大衆プレーヤー)に該当しますが、日本国民もイニシアチブを得ていません(そもそも対中関係外交だけではなく、外交というものに対して戦後一度足りとも日本国民プレーヤーにイニシアチブがあったのかすら不明です)。目下、今回の事件では、比較的中国政府はイニシアチブを得ていますね。これらが、本当にざっくりとみてとれる「様子」です。
最後にこの事件について、僕の立場としての「思い」を書けば、僕の属する日本国民という大衆プレーヤーが多層・多元外交ゲームに勝つことについては、しばらくは残念ながらなさそうです(僕もゲームのプレーヤーとして参加する以上、一度くらいは勝利の美酒を味わってみたいものです)。または、僕という個人だけの合理的行動を考えた場合、イニシアチブ獲得の可能性のあるプレーヤーへ所属属性を変えてみるのも手ではあります(・・・と、この最後の段落が冒頭のコメント欄での僕へのelf様の質問の回答になります。)。
うーん、今回のテーマは、文章として読みにくくて大変申し訳ありません(いつもよりもさらに!!)。でも、的確に、僕の「外交」についての考え方のエッセンスをお伝えするために、多少難解な言葉ではありますが、コンパクトにまとめさせていただきました。ご質問ドシドシお受けいたします!
それはともかく、さぁみなさん、中国のおいしいお茶、日本のおいしいお茶を一緒に飲みましょう!中国でお仕事・勉強されているみなさんは国慶節休暇前、忙しい時にこそ一服を!中秋節快楽!
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月22日