チャイナネットさんが開設10周年ということで、まずはおめでとうございます! チャイナネットさんはインターネットをベースにしたメディアで、その10年の発展の歴史ですから、この間の中国でのICT発展の軌跡とも近似しているのかもしれませんね。ひとつ残念なことは、「私たちの10周年」というコーナー(http://japanese.china.org.cn/life/txt/2010-09/09/content_20943987.htm)に、「10年前、同じように美しい秋の日、チャイナネットは誕生しました。それから3650日、さまざまな言語で感動的なニュースを伝え・・・」とありますが、3650なので僕の誕生日である閏年(2月29日)の数日が計算にはいっていないことです!!!(笑)
さて、祝辞と冗談で始めさせていただきましたが、依然として日本中国間の外交関係は緊張状態にあるといえます。日本だけでなく国際的にみれば、今回の日本がひきおこした外交問題に端を発して、中国のレアアース輸出に対する政策(公式・非公式は問わず実際の実行力として)・国家戦略への日本も含めた諸外国からの批判があがっていますね。そうした批判が西側諸国・日本など先進国からあがることは(それらの国々の国益の代表として)当然なのですが、実際にはこれまで石油・ガスといった天然資源や、技術・ノウハウといった知的財産でのバーゲニングパワーの駆け引きが国際的に名目上でも実質上でも、今回批判をしている国が主体としてもあったわけで、とりとめて中国が今回「脱線した」外交戦略をとったわけではないとは思います。(理想論的に、戦略資源を外交の駆け引きに使うべきでない、といった議論は多少空虚なもののように思われます。)もちろん、こうした「戦略資源」の均衡を保つことが国際的に「平和」、すなわちバーゲニングパワー的安定性をたもつわけですが、重要資源をもつ国家がとるべき選択肢は国際世論のバランスをみながら「戦略的に利用する」ということのみでありますので、それよりも、当該重要資源を持たない国が、いかに「他の資源」を「重要化」させていくのかということのほうが、戦略的に多岐にわたることとなるでしょう(戦略学としては後者のほうが考察に値します。)。
そこで、今回は、この何度か登場しているキーワード「資源(Resources)」をテーマに、外交という舞台の中での経営戦略学的分析視角として考察してみましょう。
日本にとっていま外交上の(他の主体と取引可能な、余剰のある)重要な資源を考えると技術、ノウハウ、そして国際規準特許などが挙げられるとおもいます。こうしたソフトウェアとしての資源が如何に「戦略資源」たりうるかを考察する場合、やはり歴史的な事象の蓄積がすくないので、分析をすることが難しいというのが正直なところであると思います。その意味では、その戦略が成功するにせよしないにせよ、日本はソフトウェアベースの戦略資源(を活用できるか否か)の先進的なサンプル国家として歴史に名を残すでしょうね。