人民民主主義を実行し、人民主体を保障するには、われわれは国政を運営するにあたり人民の内部で各方面から幅広く協議することが求められている。毛沢東同志は、「国の各方面の関係は協商されるべきである」「わが政府の特性は人民と協議した上で活動を進めることに示されている。これについて、あなたたちはすっかり分かったと思う」「われわれの政府は協議型政府と呼ばれてもよい」と述べた。周恩来同志は、「新民主主義的議事の真髄は最後段階の採決にあらず、主として事前の協議と繰り返される討議にあるのである」と述べた。
わが国の社会主義制度のもと、協議が最も重視され、大衆に関わる事柄が大衆によって協商され、社会全体の意思と要請の最大公約数を見つけ出すことは人民民主主義の真髄である。人民の利益に関わる事柄については、人民内部でその運び方を協議すべきである。協議せず、または協議が不十分であれば、事を順調に運ぼうとしても難しい。われわれが事を計画する前にも、問題に直面する時にも、実施中にも大いに協議する方針を堅持するのは、こうした協議が多ければ多いほど、また深ければ深いほどより好ましい効果が得られるからである。全国各民族人民の利益に関わる事柄は全人民と社会全体の中で、ある地域の人民大衆の利益に関わることがらはこの地域の人民大衆の中で、一部の大衆または特定の大衆の利益に関わる事柄はこの部分の大衆の中で、末端の大衆の利益に関わる事は末端大衆の中で幅広く協議する。人民内部で各方面から幅広く協議する過程は、民主を発揚し、衆知を集める過程であり、思想を統一し、共通認識を深める過程であり、科学的・民主的に意思決定する過程であり、人民主体を実現する過程でもある。こうしてこそ、国家統治と社会統治の深い基盤が打ち固められ、強大な力を結集することができるのである。
あらゆる実践が示しているように、人民主体を保障し、支持するうえで、法に基づく選挙を通じて人民の代表を国家生活と社会生活の管理に参加させることは重要であり、選挙以外の制度・方式を通じて人民をそれに参加させることも重要である。人民に投票権がありながらも幅広い参加の権利がなければ、人民の意識が投票の時にだけ喚起され、投票後には休眠期に入ってしまうようでは、民主は形式主義的なものである。
新中国の人民民主主義の実践を総括した上で、われわれは次のようなことを明確に指摘している。人口が多く、国土が広いわが社会主義国においては、国家の経済と国民の生活に関わる重要な問題がいずれも中国共産党の指導の下で幅広く協議され、これは民主と集中の統一を具現化したものである。また、人民が選挙と投票を通じて権利を行使することと、重要な政策決定が行なわれる前に人民の内部で各方面から十分に協議してともに関心を寄せている問題で可能な限り意見の一致を達成することは、中国の社会主義民主の二つの重要形態である。中国では、この二つの民主形態は互いに取って代わったり排斥しあったりするものではなく、相互補完・相互促進の関係をなすものであり、両者はともに中国の社会主義民主政治制度の特徴と強みを築き上げた。