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中日「互恵」時代への期待
発信時間: 2008-04-14 | チャイナネット

江原規由・日本貿易振興機構海外調査部主任調査研究員VS張季風・中国社会科学院日本研究所経済研究室主任

 

「氷を割る旅」から「迎春の旅」へ

江原 昨年は日中国交正常化35周年でした。その間、日中関係は「熱烈歓迎」「冷静実務」「政冷経熱」と変わり、そして現在、「戦略的互恵関係」が構築されようとしています。

長い日中関係で、今日ほど日中両国が「互恵」関係になった時代はなかったのではと思います。日本は遣隋使、遣唐使の時代以来、中国から制度、技術、文化を学び、中国も特に明治時代、日本をフィルターとして近代化を実践しようとしてきたと思います。日中両国は、一方がもう一方から学ぶという片側通行の時代が続いてきました。

中国の「改革・開放」により、日中両国は相互に影響しあうようになってきています。日本にとって、今や中国は最大の貿易相手国になりました。また、中国にとって日本は、もっとも重要な投資受入れ先の国ではないかと思います。経済では、双方向の交流が活発化しているわけです。胡錦涛主席の訪日で、こうした経済関係に加え、政治、外交関係も含めた全方位での双方向交流がさらに高い次元で実践される基礎固めができるのでは、と期待しています。

張季風 胡錦涛主席の訪日は、1998年の江沢民主席の訪日以来の国家主席の日本訪問で、意味深い大きなできごとです。一昨年の安倍首相の訪中は「氷を割る旅」であり、昨年の温家宝総理の訪日は「氷を融かす旅」でした。今回は「迎春の旅」、つまり花を咲かせるための旅といえます。枠組みのできた「戦略的互恵関係」を充実させ、21世紀に向けた日中経済交流の道を拓くことになるでしょう。「戦略的互恵関係」に関する第四の声明または宣言(注1)が出されるのでは、と期待しています。

同時に今の中日関係は、むしろ「政熱経冷」になっているのではと心配しています。最近の中日トップレベルの相互訪問で、政治・外交面は熱く回転してきましたが、その回転スピードに経済面がついていっていません。

昨年の中日貿易は10%の伸びで、低くはありませんが、中国の対外貿易が30%ほどの伸びを示しているのに比べると、やはり低い。日本の対中投資を見るとさらに明らかですが、2005年までは日本の対中投資は順調だったのが、一昨年は30%減少、昨年は25%の減少と、2年連続で大幅減となっています。世界の対中投資は一昨年、昨年とも伸びているのに、残念なことです。

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