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住友商事の中国事業の歩み 北川信夫会長取材 |
発信時間: 2008-05-30 | チャイナネット |
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それ以外に、中国の人件費もどんどん上がってきていますが、これも一つの問題かもしれません。でも、外資系企業も中国に投資する目的が中国の発展につれて、変わってきています。もともとは安い人件費も目的の一つで、人件費の安い中国で製品を作って日本へ持ち帰る、つまり、コストが安いということを目的に中国へ出てくる産業がほとんどでした。これが、中国のこのような産業に対する優遇策がなくなってきているのに加えて、中国市場が、市場そのものが飛躍的に拡大して、中国市場そのものがすごく魅力ある市場になったのです。今進出している外資系企業は現地で作って、日本、海外へ持って帰るという産業ではなくて、作ったものを中国国内の市場で販売する。こういう形態にどんどん変わっていっています。ですから、ますます中国に対する投資は増えていくと思います。
──人民元の対米ドルレートの上昇および現在中国国内のインフレが日本企業の中国での投資に影響を与えるか、という点について北川先生はどう思われますか?
人民元はドルに対して、どんどん強くなってきています。中国から見た場合、中国の輸出企業は打撃を受けます。ただ、今言ったように、我々進出している外資の業態が変わってきていて、中国で作ったものを持ち帰る、つまり輸出するというよりは、中国国内の市場で売るということになってきているので、人民元が強くなっていることの大きな影響は、すぐにはないと思います。 インフレは大きな問題だと思います。中国のGDPは10%以上で拡大しているので、ある程度のインフレは当然出てくると思います。従来の中国の1%、1.5%のインフレ率は2007年に4.8%になりましたが、単月ベースで見ると、2007年12月は6.5%、2008年2月は8.7%でした。温家宝総理は2008年のインフレ率を4.8%に抑えるとおっしゃっていますが、これは至上命令だと思います。これ以上増えると、いくらGDPが増えても、一般の方々の生活に大きな影響を与えることになります。もうちょっと厳しく言うと、経済自体が大きく発展しても、発展する経済の恩恵を全国民が等しく受けているかという点があると思います。中国の場合は、残念ながら国としては大きな発展を遂げていても、全国民がその発展の見返りとしての恩恵を等しく受けられているとはまだ言えません。つまり、まだ格差があります。これは今後の大きな問題だと思いますが、そういう中でやはり、インフレがあまり大きくなると、国民全体から見れば、非常に問題が大きいと言えます。でも、インフレは投資をする上であまり大きな心配事にはならないと思います。これからの中国の成長度合いとどの分野が成長していくのかというほうがより重要だと思います。
──データが示しているように、昨年、中国は日本にとって最大の貿易相手になり、日本も中国にとって三番目の貿易パートナーとなりましたが、いま、二国間貿易ではどのような分野で相互利益を実現しましたか?
先ほど触れたように、日本の企業は中国で投資するにあたって、明らかにその政策方針を変えています。ですから、中国で作って、作った製品をこの大きくなった中国国内市場で販売するというようになっています。これは中国にとっても、日本にとっても、大変重要な動きの変化だと思います。 日本から中国への直接投資は、この2、3年、20%ずつ減少しています。でも、これはあまり心配することはないと思います。というのは、大型投資、例えば、自動車、半導体、液晶産業、IT産業など、非常に大きな額を伴う大型投資が行われましたが、それが一循したわけです。投資が膨らみ、その後、一循したため、減ってきています。これは当たり前のことであって、今後また新たな投資が必ず増えていくと思います。 |
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