新中国の建国の歴史をふりかえってみても明らかなように、新中国は中国の国民に十分な食糧を保障したことが、大多数の国民の信認を得た要因のひとつである。この信認が揺るがぬようにしなければならない。世の中には「平和ボケ」という言葉がある。改革・開放30年代の成功で、生活水準も向上し、大都市ではほとんど東京と区別がつかないほどの発展が見られ、町にはスターバックスのお店あり、ルイビトン、エルメスのお店ありであるが、中国はまだまだ発展途上国であることを忘れてはならない。開発区をつくり、外国のビジネスマンたちのためのレジャー環境の整備のため、農地をつぶしてゴルフ場をどんどんつくることも必要かもしれないが、限界点をきちんと見ておく必要がある。かつてレスター・ブラウンという学者が「13億の中国人を養うのは誰か」と言ったように、13億の人口を擁する国が世界に向けて、食糧の供与を願うようなことが万が一起これば、それこそたいへんなことである。人口一千万足らずの国が食糧の供与を願い出ても、いろいろ譲歩を迫られているケースは少なくない。
私見ではあるが、省エネによる持続可能な発展を確保し、食糧は自給自足であるばかりか、他国にもいくらか援助できるようになってこそ、本当の意味での責任ある大国となれるのではないだろうか。食糧の安全という点からは国として食糧生産・備蓄基地の建設を考えてもいい時期にきているような気がする。アメリカは科学、テクノロジーの面で世界一といってもよい国であるととも、大規模農業、畜産業をもつ国でもある。こういう面で大いに見習うべきものがあるのではないか。
「北京週報日本語版」より2008年8月5日
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