外交は内政の延長である。麻生氏の今回の外交面での挑発も内政の中にその根源を見つけることができる。
まず、麻生氏は過激な発言によって世論を味方につけ、自身の不安定な地位を固めようと考えたのだろう。世界的な金融危機により、日本の経済は35年ぶりの深刻な低迷に陥り、主要先進国の中で衰退が最も深刻な経済体のひとつとなった。麻生内閣の支持率も下降の一途をたどり、1桁にまで落ち込んだ。麻生氏本人と彼の率いる自民党政権の未来は期待されていないのだ。新しく就任したヒラリー・クリントン米国務長官は日本滞在中、日本最大の野党のトップとも会談した。これに対して人々は、「ポスト麻生」と「ポスト自民党」時代の事前準備ではないかとの推測を禁じえなかった。
内部の危機に直面している麻生氏は、外交面での強硬姿勢によって内政面での弱体化をカバーし、低迷した支持率を挽回して、衆議選で反撃を繰り広げようとしている。したがって、釣魚島に関する行き過ぎた発言は麻生氏の一連の外交強硬姿勢のひとつに過ぎないのである。3月2日には北朝鮮に対しても「威嚇」のような発言をし、北朝鮮が「人工衛星」と称して打ち上げた弾道ミサイルが日本に飛来した場合、ミサイル防衛システムによる迎撃がありえると述べた。
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