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まほらまの南京生活日本と日本人への3つの疑問
発信時間: 2009-08-10 | チャイナネット

◇疑問②:気の遣いすぎ◇

~在日中国人も気が疲れる~

「日本人は周りの人に対して、なぜあれほど気を遣うのだろうか」と不思議に思うのはCさん(女性)である。「日本人はたえず自分の周りの人が、自分をどう見ているか大変気にする。自分の意図どおりに見てもらうために、あれこれ工夫する。その工夫が身なりや振る舞い、言葉遣いに現れる」。このように絶えず周囲に気を遣っている日本人と付き合う中国人も気が疲れる、とCさんは訴える。とくに、日本に長期滞在する中国人が日本人と付き合うとき、「かなり気が疲れる」という。

「中国人は自己中心で、自分の思うままに振る舞う」から、周囲のことをまったく気にすることなく大声で話す。レストランで食事をしていても、数人がワイワイ大声で話しているのは、「周りを憚る気持ちが足りないのではなく、周りに気を遣っていては和気藹々(あいあい)になれないからだ」と分析する。

レストランで、大きな丸いテーブルに10人前後の中国人が食事をしている隣の席に座ると、2、3人で食事をしているこちら側では、相手の話がほとんど聞こえない。大きなテーブルの人たちが、それぞれ大声で話し合っているため、こちら側では会話ができない。やむを得ず無言で食事を終わり、早目にそのレストランを出ることがたびたびある。

~あくまで気遣う日本人~

日本でも居酒屋などでは、数人のグループがワイワイガヤガヤ大きな声で話している人たちはいる。たいていの場合、会社の上司の悪口か仕事への不満、同僚同士の愚痴などだ。しかし、周囲にいる人たちに自分たちの話しが筒抜けになることをはばかる。そのため、周りには聞こえない程度の話し声になる。それが結局は相手に迷惑がかからないようになるのだろう。酒が進むに従って周囲への羞恥心もなくなり、中国人以上に大声になることもあるが、大抵、仲間の誰かが大声をたしなめ、あくまでも周囲に気を遣いながらの会話である。

最近、気遣いは路上の喫煙にも広まっている。他人のたばこの煙を吸わされることに不快感を覚える迷惑防止や、受動喫煙による健康問題、ポイ捨て防止などから、日本ではここ数年、路上での喫煙禁止運動が盛んになってきた。2002年に東京・千代田区で路上喫煙禁止条例が全国で初めて制定され、違反者には行政罰として2000円の過料が科せられる。同様の条例はその後、全国の都市に広がり、現在40都市あまりで制定している。今春、一時帰国してJR高田馬場駅に降りたら、駅前に「新宿区内は全域が路上喫煙禁止です」という大きな立て看板があった。看板の下の方には英語、中国語、ハングルでも小さく書いてあった。同区は2005年から路上喫煙を禁止しており、路上での喫煙禁止は、周囲の他人を気遣う社会的ルールだとしている。

~雨戸の音や雨傘の雫にも~

普段の生活の中でも、日本人は周囲に気を遣う習慣がある。朝、自宅の雨戸を開けるときも、隣近所でまだ寝ている人の邪魔にならないように、なるべく大きな音をたてないように静かに開ける。雨が降っている狭い路地で、対向して歩いて来た人とすれ違うとき、傘の露先から相手に雫がかからないように外側に傘を傾ける“傘かしげ”という習慣は江戸時代からの習わしである。

今年の春節に一時帰国したとき、下町人情が色濃く残っている東京・浅草で、「江戸しぐさ」のこころを今も続けている看板を見た。「江戸の職人たちが互いに人間を磨き合う中で生まれた、ものの考え方や行動」が、「江戸しぐさ」と説明し、「『浅草うまいもの会』は江戸しぐさを学び、謙虚な気持ちを忘れずお客さまに愛される店作りに日々努力を続けて参ります」と書かれていた。

この説明とともに「傘かしげ」や「こぶし腰うかせ」の様子を絵で示し、江戸時代から伝わる思い遣りを伝えていた。「こぶし腰うかせ」は、電車で座っている人たちが、それぞれこぶし分腰を動かして詰めれば、1人分の席ができるという他人への気配りである。

一方、日本語には「気が置けない仲間」という言い方がある。「互いに気を遣わなくてすむ仲間」という意味だ。学生時代の仲間が、卒業後、10数年ぶりに集まって会合を開いたときなど、現在の社会的地位を無視して気軽に話し合うときなどに使う。学生時代のときの交流にはほとんど利害関係はない。しかし、社会人ともなると、さまざまに気を遣わなければならない。対人関係でも、尊敬語や謙譲語などを使い分け、個人的な意思を抑えて集団行動にも同調しなければならない。そのような思考が「集団意識」や「和の精神」などといわれるのだろう。しかし、それが習慣となっている日本人でも、ときには「気を遣わなくて済む」学生時代の仲間が恋しくなるのは、気遣う生活で息抜きをしたくなるのかもしれない。

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