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まほらまの南京生活日本と日本人への3つの疑問
発信時間: 2009-08-10 | チャイナネット

◇疑問③:小さい昔話の主人公◇

~共通しているストーリー~

日本人に人気のある昔話で「桃太郎」「浦島太郎」「かぐや姫」「一寸法師」などの「主人公はなんでみんな小さいのか」という疑問をSさん(女性)は提起した。これらの主人公はみな小さい体だが、「大きな力と勇気と知恵の持ち主である。怖い巨大な敵の前でも勇敢に闘い、最後には何十倍も大きい敵に打ち勝つのが共通している」と指摘する。

Sさんは、中国の日本文化研究者の著書に、「一寸法師」や「桃太郎」などの主人公を「小型英雄」と呼び、「無意識に小さいものを美しいと思い、小さなものが好き」という心理的傾向が日本人にある、と論じていることを挙げ、「日本人がこんなに多くの小さな巨人を作り出したのは、いったいなぜであろう」と疑問に思った。

この疑問に私は的確に答えることは出来なかった。それよりも、このような疑問を持ったことがなかった。言われてみれば確かに小さい。「桃から生まれた桃太郎」「助けた亀に乗った浦島太郎」「光り輝いていた竹の中にいたかぐや姫」「縫い針を刀とし、おわんの舟に箸の櫂で旅をする一寸法師」。ともに小さな主人公が大活躍する物語である。「背の高い欧米人から見れば、日本は地球の東にある小人国である。山が低い。川が短い。部屋が小さい。それで昔話の主人公も小さく作ったのだろうか。」とSさんは推測する。

~小さいことは非権力者や弱者の象徴~

私も考えてみた。日本人に共通する思考として、弱い立場の人や権力のない人に味方をする「判官贔屓(はんがんびいき)」という言葉がある。「やせ蛙負けるな一茶これにあり」という一茶の俳句にも、メスの争奪戦に負けた痩せて弱々しい雄の蛙を応援する一茶に同感する人が多いのである。

「田舎侍」と見下され、殿中で刀傷沙汰を起こし、切腹した主君の仇(あだ)を討つ赤穂浪士の「忠臣蔵」がいまでも人気があるのも、忠君忠臣を称えるとともに、幕府の一方的な審判に疑義を持ち、中央に対する地方の意地に同調するものがあるのではないか。

小さいということは、権力がないもの、弱いものの象徴として描かれているのであろう。柔道や相撲でも、体の小さい選手が、瞬間の技を駆使して大きな相手を投げ飛ばす醍醐味の場面を観客は期待をして見ているのである。

小が大に打ち勝ち、貧者が富豪な人より幸せになり、絶対権力のある王様より乞食の自由な生活の方が楽しい、などというのは世界共通のことではないだろうか。

~日本人に考えさせるものばかり~

院生たちのレポートの疑問は、どれもユニークなものばかりであった。このほかには、「日本人は固い顔をしてユーモアに富んでいないのに、漫画やアニメに面白いシーンが多くあるのはなぜか」「世界の幸福度ランキングで中国が82位、ロシアは167位だったが、日本は90位と中国より低いのはなぜなのか」など、日本人として考えさせられるものばかりだった。

(写真はすべて日本で筆者写す)

「北京週報日本語版」より 2009年8月10日

 

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