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日本の「核保有論議」の盛り上りに警戒すべき
発信時間: 2009-08-11 | チャイナネット

文=中国現代国際関係研究院日本研究所 楊伯江所長

東北アジアの安全情勢に起こったどんな変化も、日本で大きな騒ぎを引き起こすことができる。冷戦後の情況だけを見てみよう。朝鮮半島の第1次核危機や1988年の朝鮮によるテポドンの打ち上げ、2006年の朝鮮の核実験など、いずれもそうである。

今年も例外ではなく、朝鮮半島の第2次核実験及び元外務事務次官が核密約の存在を認めたことで、日本の「核論議」はいっそう高まりを見せた。就任したばかりの民主党の鳩山由紀夫代表も、政権を握りすぐに米国と協議する考えを示し、「現実的な対応」をとり、開放的な姿勢で「非核三原則」の堅持を表明した。これは「非核三原則」見直しに含みを残したと読み取られている。

日本の佐藤栄作元首相は1967年に国会で、日本は「核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず」という「非核三原則」を打ち出した。4年後、日本国会でこの原則を「国是」とする決議が採択された。日本が打ち出した「非核三原則」は国際社会から評価され、これにより、佐藤元首相は1974年に「ノーベル平和賞」を受賞した。

しかし、核兵器を積載した米軍機や米艦船の日本への「一時立ち寄り(トランジット)」は日本政府との事前協議の対象にはならないとする日米間の核密約は、日米安全条約に対する日本の説明とはまったく異なっている。

日本国内の核論議者は、次の2種類に分けられる。1つは、「核保有」を直接要求する右翼保守勢力である。そのうち、侵略の歴史を否定したことで免職された航空自衛隊の田母神俊雄元幕僚長、「朦朧会見」で引責辞任に追い込まれた中川昭一元財務相、「産経新聞」などが典型的な代表である。

もう1つは、「核保有について討議しよう」と主張する権力派や政策決定層に近い現実的保守派である。例えば、自民党の河野太郎氏は、「安全戦略に関する討論には、『日本の核保有は本当にだめなのか』のような議題も含まれるべきだ」と語った。

政治的影響力や政策の現実性を見てみると、後者の勢力が明らかに優位を占めている。各側の利害得失を比較して考えてみると、日米同盟を堅持すると同時に、自主的な防衛力を強化することは、日本の安全維持や利益の拡張にとって最も現実的で、かつ割に合う選択だと言えるだろう。

「チャイナネット」 2009年8月11日

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