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09年版の日本『防衛白書』 軍事力整備・軍備拡張を狙う新しい前奏曲
発信時間: 2009-08-03 | チャイナネット

鄭東輝(中国国際問題研究所副研究員)

2009年版の日本『防衛白書』は今後の日本軍事力の整備強化の重点分野を明示したもので、日本の防衛政策が敏感な調整期に突入することを意味している。

2009年7月17日、日本は閣議で防衛省が提示した2009年版『防衛白書』を了承した。第1に、09年版『防衛白書』の最大の「注目点」は初めて宇宙の軍事利用及び政府の海洋立国実施戦略への防衛力の介入に明確に言及したことだ。白書は日本の防衛力整備に関する論述の際、初めて宇宙空間の開発利用について一つの章節を割き、「安全保障分野における新しい宇宙開発利用の推進」の検討を提起し、また軍事監視・警戒衛星の開発・研究に具体的に言及した。同時に、日本政府が策定した海洋開発基本計画の遂行に合わせて、防衛省が海洋戦略の実施において、「装備の研究・開発、人材の育成及び共同訓練」に力を入れていることについて例を挙げて説明した。白書は明確な言葉で、日本の軍事安全戦略における宇宙と海洋の重要な意義を強調し、軍事安全における宇宙と海洋の重要性に対する日本の認識がすでに定型化していることを示した。このことは、宇宙と海洋が今後の日本軍事力の整備強化の重点分野になることを意味している。

 

第2に、09年版『防衛白書』は海賊取り締まり、海上の“反テロ”において引き受けるべき「国際的責任」を強調し、日本が“海洋大国”として海賊取り締まりの国際的責任を前向きに引き受けるべきだと主張している。これは日本政府が今までに『海賊対策法案』を策定し、大型駆逐艦と先進的な対潜艦をソマリア海域に派遣して航行護衛行動を実施したことを再度肯定しただけでなく、今後、日本が引き続き“海賊取り締まり”を契機に、海上路における軍事力の存在を示したいという強烈な願望を示している。事実、“湾岸戦争”からアデン湾の海賊取り締まりに至るまで、日本は国際協力を口実に、海外への軍隊派遣を目指す“近道”を歩んでいると考えられる。海中の掃海、洋上補給から海賊取り締まりに至るまで、日本海上自衛隊はますます自国の門を遠く離れ、“専守防衛”の原則からも遠のいている。今後、日本海上自衛隊の遠洋行動は、少数の艦船が限られた特別任務を遂行することから、混合艦隊を結成して情報が保障された条件の下で総合作戦任務を遂行することへと転換していくだろう。

 

第3に、09年版『防衛白書』は激しい言葉遣いで朝鮮の軍事政策や動きを非難している。白書は、朝鮮は核兵器と弾道ミサイルの開発に努め、非対称戦争能力の強化を図るとともに、何度も弾道ミサイルを発射して再び核実験を実施しており、さらに比較的短期間のうちに核兵器の小型化・弾頭化を実現する可能性も排除できない、と指摘した。白書は、朝鮮の一連の軍事行動は互いに関連し合っていて、国際社会に対する重大かつ不安定な要因となり、日本の安全にとって重大な脅威となり、東北アジア地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なっており、日本は“断固として許すことはできない”と朝鮮を強く非難した。白書は依然として朝鮮を日本の最も直接的な脅威と見なしている。これは日本が“朝鮮脅威論”によって政府の対朝鮮強硬制裁・封鎖策に対する国民の理解と支持を喚起し、軍備拡張過程における障害を減少しようとしていることを反映したものであると同時に、白書の強硬な言葉遣いは最近の日朝外交における舌戦の中での朝鮮の攻撃的言論に対する応答でもある。

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