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日本:「集団的自衛権」が波瀾を起す
発信時間: 2009-08-05 | チャイナネット

 

日本政府の諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」は4日午前、首相官邸で専門家会議を開き、2010-14年度の新「防衛計画大綱」制定に関する報告書を麻生太郎首相に提出した。「集団的自衛権」の行使を禁ずる憲法解釈や、武器輸出を禁止する「武器輸出三原則」の見直しを政府に求め、日米同盟や防衛力の強化を提言する内容だ。

報告書は「集団的自衛権」の行使を禁じる憲法解釈を見直す理由として、朝鮮の長距離弾道ミサイルに効果的に対処し、日米同盟を強化することで、米国に向かう弾道ミサイルの迎撃を可能にするため、また、弾道ミサイルへの警戒任務にあたる米軍艦船を自衛隊艦船が防護できるようにするためとしている。

また、04年制定の現行「防衛計画大綱」の「武器輸出三原則」が事実上、武器輸出を全面的に禁止していることで、日本は世界の技術発展に後れを取り、防衛力の弱体化を招いたと指摘。このため、「武器輸出三原則」を見直し、日本の防衛力の強化に資する国際的な武器の共同開発・生産に参与できるようにすべきだとしている。

現行「防衛計画大綱」は「米国は唯一の超大国として、世界の平和に多大な役割を発揮している」としているが、今回の報告書は「米国の一極支配に変化が生じ、中国やインドの台頭により、そのパワーは相対的に弱まっている」と指摘。日本自身の努力や、同盟国および地域との協力を通じて、多層的で協力的な安全保障を構築すべきだと主張している。

「安全保障と防衛力に関する懇談会」は、麻生首相の私的諮問機関で、今年末に制定される2010-14年度の「防衛計画大綱」について提言を行うことを目的に、今年1月に設置された。メンバーには東京大学の北岡伸一、田中明彦両教授、京都大学の中西寛教授が含まれる。この3人は、「集団的自衛権」の行使を禁じる憲法解釈の見直しを政府に求めた、安部晋三内閣の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」のメンバーでもあった。

報告書が衆院選前に発表されたのは、選挙戦で自民党を支援するためという疑いを拭いがたいと指摘する専門家もいる。自民党のマニフェストは「集団的自衛権」の憲法解釈の見直しこそ明記していないが、「米国に向かう弾道ミサイルの迎撃」が可能となるように手当てを行うとしており、これは報告書と基調がほぼ一致するからだ。

共同通信は4日、野党がこの報告書を次々と批判していることを報じた。民主党の鳩山由紀夫代表は「『武器輸出三原則』や『集団的自衛権』に関する政府見解はとうに定着している。民主党が政権を獲得した場合、同報告書に関する検証を踏まえ、『懇談会』メンバーの入れ替えを検討する」としている。日本共産党の志位和夫委員長は「報告書は、紛争を平和的、外交的話し合いで解決するという世界の流れに逆行している」と強調。社民党の福島瑞穂党首は報告書に「強く反対する」「断じて容認できない」「社民党は報告内容の実現を全力で阻止する」としている。このほか、自民党と連立政権を組む与党・公明党の幹部も、報告書について「慎重な検討が必要だ」と表明している。

「人民網日本語版」2009年8月5日

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