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日本農業の概要 |
発信時間: 2009-09-09 | チャイナネット |
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8.日本の農業協同組合 (1)各国に共通する農業問題 ①3つの格差を縮小する。 農業と他産業。 都市と農村。 農業内部。 ②農産物の販売。国内市場への対応。 輸出の拡大。 ③農業生産資材(肥料、農薬、農業機械)の農民への供給。 ④農民、農業関係の資金の確保。 ⑤農民、普及関係者の教育。 (2)協同組合の原則 「協同組合」として認められるための国際的な要件(ロッチデール原則の要約) ①組合員の相互扶助を目的とする。 ②組合員による任意の設立である。 ③組合員の加入、脱退が自由である。 ④議決権、選挙権が出資口数にかかわらず一組合員一個である。 ⑤剰余金の配当は利用高に応ずることを原則とし、出資額に応じて配当を売る時は限定がある。 日本の農業協同組合は上記の原則に基き、小規模の農民が生産・消費活動を相互扶助、共同で行うことにより社会的な地位の向上を図る協同組織である。 (3)農業協同組合法 協同組合は農民の自主的な組織であるが、組合の社会的な地位の向上と発展を図り、併せて権利と義務を明確にするため「農業協同組合法」が1947年に制定された。 農業を取りまく社会的、経済的な情勢の変化と政府の農業政策の変化に対応して2001年までに54回の改正が行われている。 (4)日本の農業協同組合の特徴 ①.総合事業を行う組合である。 日本の農業協同組合は、組合員の農業生産及び日常生活に関する指導、販売、購買、信用、共済の活動を行っている。諸外国の農業協同組合は、作目別に販売事業を行う協同組合が一般的である。 ②.属地主義(ゾーニング)と全戸加盟 単位農協は「農業協同組合法」で設立の区域が定められており、その地域内の農家は他地区の単位農協の組合員になることは出来ない。 日本では、ほとんど全ての農家は自主的に地区の単位農協に加盟している。 ③.三段階制 ・単位農協 :市町村の地域の農家が組合員。総合事業を行う。 ・県連合会 :都道府県の単位農協が出資をして作った連合会。県域を中心に、指導、販売、購買、信用、共済の専門分野の事業を行う。 ・全国連合会:県連合会、単位農協が出資をして作った全国段階の連合会。全国の規模で専門分野の事業を行う。 (5)正組合員と准組合員 ・正組合員 :農民及び農業を行う法人。 ・准組合員 :単位農協の地域に住む個人。農業をしていなくても農協の目的に賛成して出資金を出せば組合員になれる。農協の事業は正組合員と同じように利用できるが、総会の議決権、役員になる被選挙権はない。 (6)行政との関係 行政組織の、国、都道府県、市町村の各機関に対応して行政を補完する。 (農業協同組合は、行政から財政的な支援は受けず組合の事業による収益のみである) (7)販売事業 組合員の生産した農産物の販売を行う。販売事業の基本は次のとおりである。 ①委託販売方式 :組合員と農協は売買の方式ではなく、組合員から販売の委託を受けて組合員に代わって販売する。 ②手数料方式 :組合は販売額に応じた手数料を組合員から貰う。手数料率は作目別に組合員と協議をして総会で決定する。 ③共同選果・共同販売:組合員の生産した農産物を集めて、規格、等級別に区分をして付加価値をつけて販売する。 ④共同計算 :販売価格は、販売先、販売時期によって大きく変動をするので一定の期間の販売額をプールして、組合員には平均価格で清算する。 共同計算の具体的な方法は作も区別に決める。 (8)購買事業 組合員が農業生産、生活に使う生産資材、生活用品を共同で購入する。購買事業の基本は次のとおりである。 ①委託購買方式 :組合があらかじめ仕入れて組合員に販売する方式ではなく、組合員から資材の予約注文を受けて組合がまとめてメーカーから購入して組合員に供給する方式である。 ②組合員から予約を積上げる :組合員は単位農協に予約をして、単位農協、県連合会、全国連合会と予約数量を積上げる。 全国連合会(全農)は全国の数量を背景にしてバイイングパワーで安い価格で購入して組合員に供給する。 ③手数料方式 :組合は供給額に応じた手数料を組合員から貰う。手数料率は品目別に総会で決定する。 ④共同計算 :組合員に供給する価格は、購入条件によって変動するので一定期間をプールして平均価格で組合員に供給する。プールの具体的な方法は品目別に決める。 ④現金決済 :組合は組合員に資材を渡した時点で代金を請求する。代金は単位農協の組合員の預金口座から引き落とす。(組合員の口座に残高が不足の場合は組合が低利で融資をする)。
原田 康(はらだ こう)氏プロフィール ・生年月日 1937年9月17日 ・学 歴 東京教育大学農学部 卒業 1961年。 ・職 歴 ・全農(全国農業協同組合連合会)常務理事 1993~96年。 ・(株)全農燃料ターミナル 社長 1996~99年 ・(社)農協流通研究所 理事長 1999~2002年 ・現 在 ・NPO 農民組織国際協力推進協会 理事長 ・鯉渕学園(農業・栄養専門学校) 非常勤講師 「チャイナネット」 2009年9月8日 |
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