日本・中国青年親善交流事業の第31回派遣団はこのほど15日間にわたる訪中日程を終え、日本に帰国した。中日平和友好条約締結を記念するため、1979年から、日本内閣府と中国の中華全国青年連合会の共同実施でスタートしたこの交流活動は、今年ですでに30年の歴史を数える。
今回派遣団は元ルクセンブルク大使で、元迎賓館館長の安藤昌弘さんが団長を務め、日本全国から25人が参加して、北京、山西、寧夏などを訪れ、企業訪問や緑化プロジェクトの見学、中国人大学生との交流会などが行われた。
帰国前夜(9月21日)、北京で、中日両国の同事業の体験者との交流会が行われたため、参加者たちに思いを聞いてみた。
念入りにデザインした第31回中国派遣団の名刺
■きっかけは様々
公務員から、会社員、大学生、団員の顔ぶれは様々です。誰もが前向きで、交流に意欲的な様子が強く印象に残った。交流事業に参加したきっかけや理由について聞いてみた。
【京都大学経済学部・森成徳さん】
「中国は大きな国で、世界経済の中の一つのファクターです。今年2月に初めて中国を旅行し、面白かったので、もっと中国のことを知りたくなって応募しました」
【福岡税関・水上理恵さん】
「仕事上、中国の方たちと接するチャンスが多いのですが、訪中したのは初めてです。中国の人たちは、実際にはどのような方たちなのかを知りたくて参加しました」
【明治学院大学・渡辺由里香さん】
「北京で1年間留学したことがありますが、留学と異なった体験ができるため申し込みました」
【東京都多摩市公務員・伊藤洋平さん】
「ずっと中国語に興味があり、言葉を通して中国の文化をもっと知りたいという思いを抱いて参加しました」
他には、世界的視点で中国を観察したいという団員もいた。慶応大学の太田淳也さんは、「世界各地を旅行や留学で訪れた時、現地で華人の方たちに数多く出会いました」ことがきっかけで、「華人の視点から見たグローバル化とは何かに、興味があって参加しました」と話してくれた。
さらに、「偶然」に参加した交流活動が中国をもっと知りたくなったきっかけになったという団員もいる。
関西大学の深田智世さんは2年前に、大阪府主催の交流事業で初めて訪中したのだが、当時に比べて、今、自分自身の中国への目線に大きな変化があると話してくれた。
「2年前は、ただ国際交流に興味があって申し込みました。行き先が偶然中国になり、中国にほとんど興味がなかった私ですが、訪問がきっかけで、どっぷりはまるようになりました。自らのこうしたギャップに気づき、中国に対する理解をステップアップして、もう一度、派遣事業でしか経験できないことを経験したくて申し込みました」と、ソフトながら、しっかりした声で語っていた。
団員の中で、中国人も顔負けするほど、流暢な中国語を話していた人もいた。小学校時代、4年間北京で暮らしていた神田文さん(同志社大学公共政策修士2年)だ。
「小学校での滞在経験を最大限に生かせる立場、日本政府を代表として参加できることに意義があります」と目を輝かせた。
団員たちの豊かな個性が印象に残った。また、参加の理由も実に様々だったが、自分に正直な気持ちで、中国と中国人をもっと知りたいという純粋な気持ちが共通しているようだった。
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