日本メディアの取材を受ける長沢享さん
訓練場の施設を説明する長沢享さん
訓練場の施設を説明する長沢享さん
死者・行方不明者が8万7000人以上に上った四川大地震から2年も経たないうちに、青海省玉樹では死者・行方不明者2200人以上を出す地震が発生した。地震の頻発期に入っている中国だが、地震時の応急対策や救助の経験は不足している。
中国地震局は、地震の応急救助能力を強化する訓練を日本に要請した。それに応じて日本の総務省消防庁は、国際協力機構(JICA)中国事務所と共に昨年10月から、3年間の「中日協力地震応急救助能力強化計画プロジェクト」を中国国家地震緊急救援訓練基地でスタート。このプロジェクトの一環として今年4月、東京消防庁で消防司令長を務める長沢享さんが着任した。長沢さんは長期間にわたって応急分野の教官育成や教官の能力向上を指導する。
長沢さんは、地震時の救助技術、特に高所からの被災者の救出や安全管理の専門家で、このプロジェクト発足のために昨年は5回も中国を訪れ、各省の消防隊員や地震救助隊員の能力を確認し、現地の状況調査などを行った。
「日本と中国は制度や体制が異なるため、救助システムの優劣を比較することはできない。しかし安全管理を例にとると、現場に入る時にヘルメットをかぶるのは常識だが、中国ではそれもまだ十分に徹底されていない」と長沢さん言い、プロジェクトの目標の作成では力を尽くした。