北京週報記者 繆暁陽
「呼吸できるパビリオン」日本館(繆暁陽 撮影)
日本館で展示されているエコカー、電気自動車(繆暁陽 撮影)
生物のように呼吸する建物、下水を浄化して飲用水にする下水処理システム、充電できる自動車、繊細に指先を動かしバイオリンを弾くロボット…上海万博で、ハイテク満載の日本館が訪問客の目を楽しませている。3~4時間かかって入館を待つ人々の長蛇の列は日本館の人気の高さを示している。近ごろ、本誌記者は日本館を訪れ、その人気の秘密を探った。
日本館の江原規由館長によると、上海万博が開幕してからもう一ヵ月が経ったが、この間、日本館には、入園者の約9人に1人が入館している。日本館は、入館から退館まで1時間かかり、シアター方式で入場者を迎えることになっている。一回600人、一日36回の入館があるから、一日の入館者は合計で最大2万1600人になる。
「日本館にはストーリーがあり、最新技術を中心とした展示や実演、そして、ミュージカルなどがあり、楽しく豊富な内容となっている。そのことが、日本館にたくさんの皆さんがおいでになる要因ではないかと思っている」と江原規由館長は言う。
日本館の愛称「紫蚕島」は、日本館の形が「蚕」の繭を連想させることから命名された。この愛称は日本と中国において一般から募集し、応募総数約3600通の中から選ばれた。採用されたのは中国の応募者からの提案だ。この愛称について、江原規由館長は、「『紫』は日本においても中国においても高貴と長寿を意味する色合いとされていること、また、『蚕』が作る絹糸は日中の文化のつながりを表す象徴の一つでもあること、『島』は日中交流と協力を増進する現在および未来にわたるプラットフォームを意味する」と述べた。
日本館はまるで「呼吸できるパビリオン」のようだ。建築の特徴について、江原規由館長は次のように述べた。日本館は水(雨水)、光、風といった自然の力を最大限効率よく利用することで、二酸化炭素使用量を削減する構造となっている。日本館の全容を見ると、角のような突起物が3つ、大きなくぼみが3か所に配置されている。これはエコチューブ(中国名:循環呼吸柱)と名付けられ、日本館を支える柱でもある。エコチューブは、太陽光を取り込み、館内を明るくし、雨水を地下に貯え、上昇気流を発生させ、館内の温度を下げる機能がある。日本に古くからある「打ち水」や「縁の下」の習慣・知恵を応用している次世代環境建築モデルだ。また、外装は透光性のよい二重の新素材(ETFEフィルム)を使用し、その間に世界初のアモルファス太陽電池(黒色で横長)をいくつも組み込んで、館内発電として使われている。節電というより創電を実現しているといえる。
「自然の力を最大限効率よく利用し、館内(人間でいえば、体内)温度を自己調節することが可能なことから、『生命体のように呼吸する建築物』と言われる」と江原規由館長は語った。