今年に入り、多くの中国企業が日本の製品を購入し始め、日本のメディアにとって、耳障りなニュースとなっている。ここ1-2カ月で「中国が日本を買い尽くす」「日本企業、中国に敗れる」のような刺激的タイトルが紙面をにぎわせている。しかし、一部の日本人と中国の専門家は、この状況について、実際のところはマスコミの誇張報道によるもので、その後ろにあるのは一部の日本メディアと国民の潜在意識だとみている。
中国の台頭は日本にとって「痛手であると同時に警戒すべきこと」
米国の『僑報』(USCHINAPRESS)は、少し前に以下の点を指摘している。一部のマスコミが中国の「日本買い」や「世界買い」等と報道しているが、中国人の海外投資は、80年代の「日本のアメリカ買い」と同日の論ではない。当時、日本人はロサンゼルス繁華街のほぼ半分の不動産を手に入れていた。また、ハワイでは、レストランやホテル、高級住宅街に及ぶ96%以上の海外投資が日本からのものだった。80年代末には、アメリカ全土の10%の不動産が日本人の懐に入っていた。
このように、「中国の日本買い」は偽の命題であるのに、日本のマスコミはなぜこれほどまでに大騒ぎするのだろうか。多くの専門家は、日本人の心理状態に原因があると見ている。
90年代にバブルがはじけてから、日本経済は長期にわたって低迷状態であり、社会全体に暗い影を落としている。それに比べ、隣国の中国は急激な発展を続けており、そのGDPが日本を追い越すのも時間の問題だ。このような両者の明らかな違いの中、日本が、かつて自身のずっと後ろのほうに位置していた中国の動向に敏感になってしまうのも無理はない。
劉軍紅氏は、以下のように分析する。中国の台頭は、日本人にとって「痛手であると同時に警戒すべきこと」である。日本人は、民族的優越感によって板ばさみに直面している。それは、中小企業を中国に売らなければ倒産してしまうし、売れば売ったで、中国人が経営者になってしまうのも嫌だというものだ。日本人から見れば、中国企業が日本企業を買収することは、「家柄の釣り合わない婚姻」のようなものである。また、島国である日本は、国民全体が強い危機意識を持っており、時にそれが「度を越えて」しまい、常によそ者を警戒している。「それはまるで、要らなくなった古着を捨てようとしたときに、突然それを欲しがる人が現れ、その人がいったい何を企んでいるのかを思い悩むようなものだ」。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年6月4日