今年に入り、多くの中国企業が日本の製品を購入し始め、日本のメディアにとって、耳障りなニュースとなっている。ここ1-2カ月で「中国が日本を買い尽くす」「日本企業、中国に敗れる」のような刺激的タイトルが紙面をにぎわせている。しかし、一部の日本人と中国の専門家は、この状況について、実際のところはマスコミの誇張報道によるもので、その後ろにあるのは一部の日本メディアと国民の潜在意識だとみている。
中国人による度重なる買収
この半年で、豊富な資金力を持つ中国企業が日本で巻き起こしたM&A旋風に、多くの日本人は危機感を募らせている。5月24日、日本の上場企業アパレル大手のレナウンは、中国の山東如意科技集団(山東省)から数十億円の出資を受けるとともに、同社が持株40%の最大株主になることを発表。これにより、山東如意科技集団はレナウン傘下にあるメンズ・レディス合わせて十数種のアパレルブランドを獲得、一方のレナウン側は、山東如意科技集団の資本注入による財政再建を目指す。
今年3月には、中国の自動車メーカー比亜迪汽車(BYD)が、日本の金型大手オギハラ所有の工場買収を発表。BYDは、車体成型におけるオギハラの先進技術を入手、一方のオギハラは、過剰な生産能力を縮小して収益力改善を目指す。
また、その少し前に、中国の蘇寧電器(SUNING)が日本で80年の歴史を持つ家電量販店のラオックスを買収、東京の株式会社本間ゴルフは(投資会社により)過半数の株式を中国の持ち株会社に譲渡された。
同時に、日本の不動産業者も中国市場に注目し、大きな富により鼻息の荒い中国人購入者のために様々な不動産のプロモーションを開催している。5月初旬、日本の某テレビ局も特別報道番組の中で中国の不動産投資者に向けたセミナーを取材、VTRに、上海にいながら日本の高級物件の資料を手にする中国の投資者が出てきた時には、番組司会者も驚きを隠せない様子だった。
また、このところ、金に糸目をつけない中国人旅行客は、日本の各大型デパート等の人気者となっている。中国語での店内アナウンス、中国語のできる販売員はもちろん、中国の銀行カード(銀聯カード)での決済等のワンストップサービスにより、中国人旅行客は、他国の旅行客とは違うVIPサービスを提供されている。