「日本買い」ウィンウィンを実現
これまでずっと中国企業に対してM&Aを行ってきた日本企業だが、急に立場が逆転してしまったため、この変化に対応できない日本人もいる。日本は、まもなく中国に世界第2位の経済大国の座を奪われるのを、指をくわえて見ていることしかできない。このままでは、すぐに中国人が東京の中心をのっとり、数々の壮大な建築物に加え、大切な戦略地までも買収されてしまうことを心配する声まであるとの指摘がある。
『SAPIO』3月号では、「中国が日本を買い尽くす」と題した24ページにわたる特集が組まれた。そこに書かれていたのは、中国人旅行客が買い物に大金をつぎ込むことを喜ぶ一方で、日本の戦略的産業、不動産、土地までもが奪われることで、日本の安全が脅かされているという内容であった。また、とある中国企業が日本の本州と四国の間に位置する無人島の購入を検討しているとし、何の目的かは明確でないが、この島が日本とアメリカ軍基地に近いことから戦略的意味を持つ可能性を示唆した。しかし、この中国企業の無人島購入について、本紙記者は確証を得られなかった。
本紙でも「中国の日本買い」について、日本人に取材を行った。某メディア会社の中間管理職である加藤氏は、楽観的な態度でこう答えた。中国企業が日本に投資を行うのは、いい事だと思う。日本政府の税収入も増えるし、窮地に陥っていた日本企業も中国による買収を経て新しい活路を見出し、社員も首を切られずに済んだ。国家、企業、国民にとって有意義なことなのだから、大げさに騒ぐ必要はない。
『世界新聞報(ワールドニュースジャーナル)』の記者も加藤氏の意見に大きくうなずく。家電量販店ラオックスの例で見ても、同社は去年6月に中国の蘇寧電器(SUNING)に買収されてから、体系的な再建措置を取ったことで、2010年の純利益予測は2億円、10年ぶりの赤字脱出が見込めることを正式発表、また、今年4月に東京でオープンした2つの新店舗に続き、中国でも3つの新店舗をオープンさせる計画だという。
最先端技術を持つ企業を含む多くの日本企業が資金的困難に直面している。一部の企業は、以前にも中国に自社工場を開設したが、技術交流や協力体制の点で、多くの壁が存在していた。独資であれ合弁であれ、要となる技術部門については、そのほとんどが日本側に管理されていたのが実情である。だが、日本企業へのM&Aという方法であれば、中国企業が日本の先進技術を獲得できるだけでなく、日本の企業にとっても窮地から脱出するための資金を得られるので、事実上のウィンウィンであることが分かる。
イギリスのタイムズ紙は以前、ある調査報告書を引用した上で、2009年、中国の日本に対する直接の投資額は300億円に過ぎないが、この数字は前の年と比べて4倍も増加していると報じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年6月4日