重慶衆望動力機械製造有限公司(以下、衆望公司)による日本の本田技研工業株式会社(以下、ホンダ)の商標権侵害を受け、重慶第一中級人民法院(日本の地裁に相当)は4日、衆望公司に商標権を犯す行為を直ちに止め、ホンダが権利侵害の調査と制止に使った費用5万元の賠償を命じた。中国新聞網が伝えた。
08年7月、重慶市沙坪バ区の工商局は「巴渝本田」と書かれたダンボール箱とラベルが衆望公司が製造したガソリン発電機の包装に使われていたのを発見、押収した。同局はホンダと同じ製品にホンダが登録している「本田」に近い商標が使われていたことから、ホンダの商標専用権を侵害したとして、ダンボール箱とラベルを没収し、衆望公司に対し罰金5000元を科した。
この知らせを聞いてホンダは、09年7月に書面で衆望公司に損害賠償と権利侵害製品に関する情報を提供するよう求めた。ところが衆望公司はこれを拒否。2010年1月26日、ホンダは重慶第一中級人民法院に提訴、衆望公司に商標権の侵害行為停止と15万元の賠償金を請求した。
法廷では、権利侵害製品が取引されたかどうかが論争の焦点となった。衆望公司は、工商部門の行政処罰決定書は販売行為はなかったと認定していると主張。ホンダは、工商部門による販売証拠が得られなかったとしても取引されていないことにはならないとし、製品は生産したが販売はしていないという衆望公司の主張は生活的論理に見合っていないと論じた。重慶地裁は、ホンダが提出した証拠と衆望公司が認めた事実は、ホンダがガソリン発電機に「巴渝本田」の商標を使っているのを証明しているだけで、ホンダが提示した証拠では衆望公司が製品を販売したかを判断できないとした。「主張したものが証拠を示す」というルールに従い、ホンダは証拠が提示できなかった場合、その全責任を負わなければならない。
5月24日の一審判決で、衆望公司にはガソリン発電機に使用した「巴渝本田」標記を直ちに停止し、ホンダが権利侵害の調査と制止に使った費用5万元を賠償するよう命じられたほか、ホンダの別件の提訴申請が却下された。
ホンダは商標権侵害でこれまで幾度となく重慶の企業を相手に提訴してきた。2002年、ホンダは重慶力帆が製造したバイクに「HONDA」と一字違いの「HONGDA」と表示したとして告訴。この裁判は数十回にわたって行われ、最終的に力帆がホンダの商標権を侵害したとの判決が言い渡された。(編集KA)
「人民網日本語版」2010年8月5日