吉林大学東北亜(北東アジア)研究院 陳志恒
2008年6月9日、日本の福田康夫首相(当時)は日本記者クラブにて「『低炭素社会・日本』をめざして」というスピーチを行い、「福田ビジョン」と呼ばれた。同年7月、「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定され、「福田ビジョン」は行動に移された。
低炭素社会の構築は、日本が「京都議定書」により定められた温室効果ガス排出削減の義務を履行する有効な方法であり、日本のエネルギー不足を緩和する重要な手段であると同時に、日本の技術革新の推進にも有益である。政府主導の下、技術革新や制度の刷新、意識改革及び国際社会との協力を拠り所として、日本の低炭素社会計画は着実に前へ進んでいる。
(1)政府主導
日本政府は低炭素社会の構築において主導的な役割を果たしている。①政府が計画や目標を策定。福田首相の「福田ビジョン」から麻生首相が再始動させた「太陽光世界一プラン」、08年7月26日に決定された「低炭素社会づくり行動計画」まで、日本政府は低炭素社会の構築を国家戦略の一つに掲げている。②政府が監督管理を実施。日本政府は多層的な省エネ監督管理体制を確立している。第1層は首相が統率する国の省エネ指導グループ、第2層は経済産業省と各地方経済産業局を主とする省エネ指導機関、第3層は省エネ専門機構。③政府が財政・税制上の措置によって牽引。日本政府は特別償却制度、補助金制度、特別会計制度などさまざまな財政・税制上の優遇策を打ち出して低炭素社会の構築を牽引し、企業の省エネ技術の開発や省エネ設備の使用を奨励している。
(2)科学技術の発展と革新
現在までのところ、日本の省エネ環境保護技術は世界を大きくリードしている。太陽光発電設備を例に挙げると、日本は世界最大の輸出国であり、シャープの太陽光発電設備だけでも世界の生産量の3分の1を占める。「低炭素社会づくり行動計画」によれば、日本は2020年までに二酸化炭素回収貯留(CCS)技術を実用化し、太陽光発電の導入量を現在の10倍(2030年には40倍)にすることを目指す。また、2020年から2030年の間に燃料電池システムの価格を現在の10分の1にするとしている。
よって、日本政府は技術革新への資金投入を保証するために、技術開発への民間資本の参入を奨励している。毎年、内閣府の総合科学技術会議が資源配分方針を決定し、環境省などの政府機関はこれに基づいて資金を配分するのである。この枠組みの中で、低炭素技術の革新に今後5年間で300億ドル投入する見込みである。