アメリカのエネルギー政策のアナリストであるMark Humphries氏は先週の金曜日、国会に「レアアースの世界供給チェーン(Rare Earth Elements:The Global Supply Chain )」と題した報告書を提出した。報告書の中には「中国」という文字が度々出現するだけでなく、「中国の役割」や「中国の輸出政策との挑戦」というタイトルの章も存在し、2009年の中国のレアアース関連のデーターまでもが事細かに記載されている。
レアアースの輸入大国でしばしば囁かれている「世界のレアアースは全て中国にある」などという実も蓋もない噂などとは違い、この報告書の6ページ目にはそれをしっかりと裏付ける「2009年の全世界のレアアース生産量と埋蔵量」という表が載っている。表から分かったことは、「中国のレアアース埋蔵量は3600万トンで全世界埋蔵量の36%を占め、生産量は12万トンで全世界生産量の97%を占める」ということだ。
中国の状況とまるきり対照的なのは、アメリカとロシアである。両国のレアアースの埋蔵量はどちらも数千万トン以上で、それぞれ全世界埋蔵量のアメリカが13%、ロシアが19%を占めている。それにも関わらず、生産量はゼロに等しい。一人当たりの埋蔵量で考えても、両国とも中国より多いが、アメリカもロシアもどこ吹く風と言った感じで完全に輸入に頼っている。
報告書によると、アメリカも一時期レアアースの採掘を行なっていたが、過去15年の間にすっかり採掘をやめていた。一部回収して再利用する以外には、アメリカのレアアース鉱石はほとんど輸入に頼っている。そのようなこともあって、中国の安価なレアアースは世界市場の恩恵を一身に受けることになったのである。
中国科学院長春応用科学研究所学術委員会の洪広言副主任は長年、中国のレアアース研究に携わっており、このような真相を話してくれた。以前、中国のレアアースの価格はこれ以上ないほどに安かった。白菜よりも安いと言う時期さえあり、今にしてみれば、実にもったいないことをしていた。アメリカはと言うと、中国の安いレアアースを輸入して加工し、高い価格で再び中国に輸出していたのだった。アメリカはそうやって膨大な利益を得ているのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月10日