「日本の経済の要は自動車と電子」と言われているが、経済学者の謝国忠氏は鳳凰テレビ10月10日放送の番組「財経点対点」では、「日本が競争で優位に立てるのは、製品の精巧さにあります。自動車業界でも電子業界でも日本はその技術で飯を食ってきました。しかし今、市場も技術も発展し、そのような技術は必要のないものとなってしまったのです」と述べた。
鳳凰テレビ10月10日放送の番組「財経点対点」の放送より抄録
曽瀞漪:以前、「日本の経済の要は自動車と電子」であると仰っていましたよね。しかし、日本の電子技術はまだまだ世界に及ばないし、中国がレアアースの輸出も制限するとなると、日本の電子工業にとっての影響は深刻でしょうね。
謝国忠:日本の問題はただ単に原材料の供給源だけではないと思いますね。もともと資源が乏しい日本は、そういうことに敏感になっているが、実は、中国のレアアース輸出の制限は日本にとっては最も重要な事ではありません。問題は日本の得意分野にあります。日本が競争で優位に立てるのは、製品の精巧さにあります。例えば、押しボタン一つ取ってみても、日本は全てのボタンの部品を精巧に作る事ができ、何度押しても壊れないような品質に仕上げる事ができます。それこそ、日本が最も得意とすることです。
自動車業界でも電子業界でも日本はその技術で飯を食ってきました。しかし今、市場も技術も発展し、そのような技術は必要のないものとなってしまったのです。Iphoneを例に挙げてみれば分かるように、ボタンなんてないも同然です。アップデートも全部ソフトウェアで解決できますし、ハードウェアは重要でなくなってしまったのです。ソフトウェアが主流になると、それはもうアメリカの得意分野です。日本はソフトウェアの業界ではとっくの昔に出遅れているので、その分野では食べていけなくなってしまったのです。
まず電子業界で言えば、日本の電子技術は元来、素晴らしいもので、3Gのテレビの開発にも成功しました。しかし、3Gテレビはあまり注目されていません。それは何故か。人々の関心はモバイルやインターネットに向けられていたからです。家族が皆リビングに集まって1台のテレビを囲んで見る時代は終わりました。今の家族は誰がどこにいるのかも分からず、皆それぞれ、何かしらを手に持って見ています。消費の形そのものが変わった為に、どんなに素晴らしい製品を作っても、ニーズに合っていなければお金は稼げないという事です。
次に自動車業界はどうか。日本の技術は失敗や間違いを許さない厳しいものでした。例えば、生産ラインで、誰かが問題を発見すれば、全ての生産ラインは中断し、逐一改善をしていかなければならないのです。絶え間ない改善のおかげで、日本の車は長い目で見れば、他のどの国の車よりも遥かに質が良いのです。
しかし、自動車の技術は他の国も追いつけるものです。アメリカと日本の車の質の差はそれほどありません。そして、ヨーロッパにも独自の強みがあります。それは、性能です。ヨーロッパの車は性能と乗り心地にこだわっており、この点では日本よりも優勢です。その為、ヨーロッパの車が世界のトップに登りつめるのはあっという間でした。
このように、自動車と電子の両業界のプレッシャーは重いが、日本はまだ軌道修正を行なっていません。日本もドイツのように方向転換をしていかなければ、どんどん貧乏な国になっていく可能性は高いでしょうね。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年10月12日