日本の企業信用調査機関の帝国データバンクが7月に公表した「中国企業による日本企業への出資実態調査」によると、今年6月現在、中国企業の投資を受け入れた日本企業は611社を数え、このデータは5年前の同期の2.6倍である。業種から見ると、小売り・卸売り関連企業がトップで、全体の52.9%。うち電器や食品、衣料品企業が最も多い。次いで、サービス関連企業(22.3%)と製造業(11.3%)が続く。注視すべきは、中国企業による日本製造業への投資件数がこの5年間で3倍以上になったことだ。また中国メディアの統計によれば、今年に入り、中国企業が合併・買収した件数はすでに20社近くに達しており、2009年通年の買収総額を超えている。
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これに関して、日本の雑誌「追求」は今年3月、「中国は日本を買い入れるだろう」と題する特別企画を掲載した。中国人による日本の戦略的産業や不動産の買い占めを非常に懸念し、日本の国家安全は危機的状態にあると指摘。だが、中国企業による日本企業買収ブームは本当に来るのだろうか。中国社会科学院日本研究所経済室主任で、経済学博士の張季風氏に聞いた。
――帝国データバンクは「日本企業611社が中国資本を受け入れた」と公表していますが、どう思われますか。
張主任 ここで言う「中国資本を受け入れた」が、何を基準にしてのことなのかは分かりませんが、中国資本を受け入れた日本企業は600社余りにとどまらず、中国における日本との合弁企業または現地法人は2万社を超えており、その日本にある親会社はいずれも中国と様々な関係を結んでいます。金融危機後、日本の中小企業は深刻なダメージを受け、中国を含む外国企業による集中的な合併・買収が起きるのは、実は非常に正常なことで、もともと共通の利益を得るのが目的であり、まったく驚くに値しないことです。
――今年6月末時点で、中国企業が合併・買収した日本企業はすでに20社近くに達し、合併・買収額は去年全体の総額を超えました。一部のメディアは「中国の日本企業合併・買収ブームになった」と報じていますが、これをどう見ますか。
張主任 中国企業による日本企業の合併・買収件数はまだ「数えられる」程度であり、合併・買収したのは一部の比較的優れた中小企業で、十数社の中国企業だけではブームになったとはまだ言えず、始まったばかりに過ぎません。日本企業への投資や合併・買収は長い道のりをたどるでしょう。
実際、中国に投資する日本企業は年間、少なくとも1000-2000社に上っています。中国の日本への直接投資総額(金融を含まず)は日本とはまったく比べものになりません。中国の対日直接投資額は累計で4億ドル未満、日本はすでに700億ドルを超えています。