味わい深い「アワビ」
中国では、「参・鮑・翅」がメニューにある宴会こそランクが高い高級なものと言われている。「参」はナマコ、「翅」はフカヒレ、そして「鮑」は正にアワビの事である。中華料理では、干しアワビは缶詰のアワビよりも高級で、値段も遥かに高価である。干物は貴重な日光を吸収し、味を薄めてしまう水分はとことん蒸発してしまうので、凝縮された濃厚な味になる。中華料理でアワビと言えば、干しアワビだけが唯一極上の食材であると言う極端な人もいるほどだ。
しかし、干し物は料理に使う時には水で戻すのが普通であり、干しアワビもその例外ではない。そして、アワビのもうひとつの特徴と言えば、その豊満で味わい深い肉質である。もし、アワビを向こうが見えるくらい薄く切ってしまったら、その柔らかな肉質の風味は失われてしまうのだ。
(「美味方丈記」著者:陳舜臣より)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年11月29日