日本の漢方製剤の復活 中国の「漢方否定論」への異議

日本の漢方製剤の復活 中国の「漢方否定論」への異議。

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発信時間: 2010-12-01 15:09:45 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

中国のお隣の国・日本では明治維新とともに西洋医学が採用され、漢方医学が否定されてきた。だが、1970年代以降、脂肪肝や糖尿病など難治性の高い症例が増えたこと、また高齢者にとって化学薬は副作用の負担が大きいことや価格も高いことから、ここにきて漢方製剤が再認識され始めている。漢方医薬の否定によるしっぺ返しという意味では、日本のこうした教訓が中国でも生かされればよいが、残念ながら、中国でも漢方医学を否定する人が多くなっている。

「漢方医学VS西洋医学」を突き詰めると、漢方医学が人類にとって大きな貢献をしていることが分かる。漢方製剤は化学薬よりも安いため、これだけでも、より多くの病人を治療できることになる。医療費の高騰は、中国が推進している医療保障制度の完備化を妨げているからだ。日本は中国とは異なり、欧米諸国、特に米国の思想の影響を直接受けてきたために、国会で医薬関連の法案が審議される場合も、どうしても化学薬の保護といった傾向になりがちである。漢方製剤を生産する大手メーカといえば、ツムラや大正製薬など少数に限られる。ツムラは過去30年間、会社の急成長、販売量の低迷、回復といった、決して順風満帆とは言えない歴史を歩んできた。

日本の漢方製剤産業の復活には、長期間における産業全体の苦しみを経なければならなかった。特にツムラをトップとする漢方製剤メーカは、漢方が「薬理的根拠に欠ける」「効果が現れるのが遅い」といった投資者の漢方薬否定の声を常に受け続けてきた。そこで日本の漢方製剤メーカは、「大柴胡湯」「大建中湯」といった経方(漢方の原典「傷寒論」「金匱要略」に基づく処方)の漢方製剤を市場に打って出すことで、低迷する漢方製剤の復活を図ったのである。ツムラなどのメーカは「漢方製剤は、政策面でも一般国民の認知度といった面でも、西洋医学に基づく化学薬とは比べ物になりません。だからこそ、新たな分野として発展させればよいと思ったのです」と述べている。ツムラは中~高齢者を市場ターゲットに定め、長年の間、市場調査をしてきたところ、中~高齢者が漢方医薬を肯定する声が意外に多く、中国の伝統・文化を尊ぶ姿勢があることが判明した。胆嚢炎、脂肪肝、糖尿病といった疾患が高齢者に多発し、特に人口の高齢化が著しい日本という国にとって、その医療保険財政支出は大きな負担になっている。では胆嚢炎、脂肪肝、糖尿病などの疾患を有効的に治療・予防でき、また財政負担を軽減できる方法はあるだろうか?論証が繰り返された結果、ツムラは「大柴胡湯」「大建中湯」といった経方医学に基づく処方に目を付けた。こうして、中国では医聖と称えられている張仲景(後漢時代の医師)が瞬く間に、ツムラの救世主として登場することになったのである。

このように、ツムラが市場を的確に見定め、「大柴胡湯」などの漢方製剤が生産されるようになり、その結果、日本が「高血圧、冠状動脈血管疾患の発症率が低い国」として世界に認識されるようになった。また、医療保険財政負担の低減に一役買うことになった。また、間接的にではあるが、日本国民の健康上における生活レベルを向上することになったため、日本では漢方製剤の利点が徐々に認識されるようになっている。今では「大柴胡湯」は日本の保健薬として、国民の間で定着している。またダイエット薬の分野にも用いられているという。こうした漢方製剤の復活により、ツムラも産業内で再び台頭することになり、日本人の漢方製剤に対する従来の認識を変えるのに一役買っている。

恥ずかしいことだが、「大柴胡湯」など経方医学に対する中国国民の認識は、今では日本の国民より遥かに下回っている。民間企業の研究は少なくなっており、漢方医薬を否定する声も存在する。だが、とある企業が、経方医学に基づく処方の研究を行っており、中国独自のブランドを振興させるといった使命に燃えている。中国の漢方製剤メーカは、政策的にも市場規模的にも、日本にあるメーカよりもずっと有利な立場にいる。今後、どの漢方製剤メーカが、ツムラを代表とする日本の漢方製剤メーカを追い抜くことが出来るか、期待して待つことにしよう。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年12月1日

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