円高に対応できないという日本の自動車メーカーの声が高まる中、トヨタ、日産に続いて、広州汽車集団と合弁会社設立を進めている三菱自動車も中期事業計画(2011-2013年)で円高への対応措置を打ち出した。それによると、三菱は部品の本土調達コストを大幅カット、中国を含む新興市場で小型乗用車「グローバルスモール」などを発売し、円高に対応する計画だ。
同計画によると、2013年までに海外市場の生産比率を現在の44%から54%に引き上げ、900億円の調達コスト削減を断行する方針だ。具体的には、日本以外での部品調達の割合を増やし、円高による損失に対応するなどの内容が含まれている。
三菱は特に、中国、東南アジア、ロシア、ブラジルなどの市場が同社の成長を牽引することになると強調。この3年間でグローバルスモールなど新車発売を通じて、新興市場で28万台の売上を目指す。この小型乗用車は早ければ2012年3月にタイの第3工場で生産を開始する計画。広州汽車との合弁がうまくいけば、長沙基地でも生産される見通し。
▽日本メーカーの産業移転、中国にチャンスもたらす
円が昨年、ドルに対して10%以上上昇したことで、日本の自動車メーカーの日本からの輸出利益は暴落した一方、中国に産業移転によるチャンスをもたらした。以前だと本土以外での生産が考えられなかった一部の車種を中国で生産する可能性が出てきた。それにより中国への生産投資が拡大することになる。
ルノー・日産連合のゴーンCEOは、「生産機能の重点をドルと連動している米国や中国を含む経済国におき、為替相場の動きに影響を受けないようにする。今後日本では生産は拡大しない。日産はすでに『戦略的移転』をはかっており、昨年からマーチを中国に導入。日産がグローバルパワーをつける上で中国工場の重要性は増している」と語った。東風日産の任勇副総経理は「関連製品の国産化によって中国の製造能力が強化され、さらなるコスト削減が図られる」と話す。近いうちに日産の高級車の生産拠点が広州に移るかについて任氏は、「関連の事業計画はまだ検討中だが、東風日産の製品があらゆる市場をカバーするのは時間の問題だ」と紹介した。
円高は中国の部品業界にとってもチャンスとなるだろう。広州汽車の曾慶洪総経理によると、自動車の70-80%のコストは部品にかけられるという。日本の自動車業界は欧米の入札による部品調達と違い、自動車メーカーと部品メーカーが常に戦略的同盟関係にあり、外部のメーカーが介入する余地がなかった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年1月24日