市場にやや安定の兆しが見えてきたこのほど、世界三大格付け機関のひとつ、スタンダード&プアーズ(以下「S&P」)は、日本の国債格付けを「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に格下げしたと発表した。これは、2002年の同社による日本国債の格下げ以来初となる。
この発表後、為替市場は急激な変動を見せ、ドル/円は1%跳ね上がった。S&Pは今回の格下げについて、日本の債務残高比率が今後も上昇し、2020年代半ばまで下降に転じないと判断したことを理由にしている。
また、S&Pは日本のアウトルックを「安定的」とした。日本の高水準の対外純資産と円の国際通貨としての役割によってもたらされる柔軟性が部分的に財政面からの圧力を解消できると考えてのことだ。
S&Pは、日本の債務問題は引き続き国内デフレ圧力の影響を受け、日本の中期的な経済成長率を約1%と予測。また、日本の高齢化問題も日本経済や財政見込みに大きな影を落とし、安定と言うにはほど遠い政治情勢も政府の債務問題解決能力を弱める恐れがある。だが、社会保険や税収において、より多くの改革が行われれば、今後の格付けに有利としている。
S&Pによる格下げに対し、日本高官はいち早く反応した。与謝野馨経済財政担当大臣は、今回の格下げは、政府が消費税においてより多くの行動を起こさなければならないことを意味しており、政府は財政改革に真剣に取り組んでいくとした。また、野田佳彦財務大臣も、引き続き財政規律を維持していくことで、市場の信任を得ることが大事だと強調した。
いずれにしても、S&Pがこれほど早い時期に日本に「目をつける」とは予想外だった。同じく格付け機関のムーディーズとフィッチ・レーティングスは、日本の格付けについて、しばらくは現状維持と表明しているが、それには日本側の財政政策強化が必要であるとも指摘している。
次のターゲットは日本?