次のターゲットは日本?
ドイツ経済の著しい経済回復により、現在、ユーロ危機は少し落ち着いてきたが、ここにきてS&Pは突然日本の格付けを引き下げた。それは、格付け機関の次なるターゲットが日本であることを意味しているのだろうか。
事実、欧州債務危機勃発後間もなく、市場は世界中の債務問題の深刻さに気付いた。G7国家の政府債務は、対GDPで60%という国際的に認められている安全警戒線を超えており、そのリスクは一触即発の可能性もあった。そして、その時すでに負債比が200%を超える日本が、欧州に続いて深刻な危機に直面する恐れがあるとの見方が出ていたのである。
今となっては、EU上層部も財政危機に対しより多くの智恵と決断力を身につけた。また、米国の減税政策によりそのトリプルAの格付けが不安視されたものの、市場はドルの覇権的地位が変わらない以上、その格付けが引き下げられる可能性は極めて低いと見ている。
一方、未だデフレの落とした影から抜け出せない日本は、過去2年においていくつかの政局不安定を経て、歴史的な円高苦境をやっとの思いで乗り切ったかと思えば、今度はまた財政問題が浮上した。今後、格付け機関がこぞって難題を突きつけるようなことになれば、それは、日本の経済回復に降りかかる大きな災難となるだろう。
しかし、招商銀行(China Merchants Bank)のアナリスト劉東亮氏は『第一財経日報』で次のようにコメントしている。S&Pの今回の格下げに特に大きな参考価値はない。市場がすでに分析しているように、日本国内の高貯蓄率や、国債のほとんどが国内投資家によって保有されている等の要素がプラスに働いているため、日本は大きな負債を抱えてはいるが、ギリシャやアイルランドのような境地に立たされることはない。
外為市騒然