文=日本問題コラムニスト 陳言
春節前後、多くの中国人観光客が日本を訪れた。2~3月は日本の閑散期でもあり、中国からの観光客は大いに歓迎され、秋葉原の電気街にも、浅草寺にも中国語の表示があり、快適に観光ができるようになっている。
しかし、こんなこともある。ある高級百貨店で、日本の手作りの工芸品をいたく気に入った中国人客が店員に尋ねた。「あといくつある?」そして、店員が答える前にまた、得意げに「全部くれ!」と言った。すると、店員はそれを喜ぶどころか、軽蔑するかのようなまなざしで、そそくさと倉庫の方へ消えていった。
街の中国語表示の丁寧さとは大きく矛盾する店員の態度、恐らく一般的な中国人観光客は誰もそれに気がつかないのだが、日本での生活経験がある人はそれを敏感に察知できる。後者(つまり日本での生活経験がある人々)にとって、その第一印象はもちろん「不愉快」なのだが、この「不愉快」な感情がまた複雑なもので、日本の店員に対する不満なのだが、そこには中国人への気に入らなさも含まれているといえる。
中国人観光客の一部には、変わった方法でショッピングする人がいる。聞けば、彼らはその多くが山西省からの炭鉱経営者で、上述のような豪快な買い物の仕方で、成金の匂いをプンプンさせている。大多数の中国人観光客が、店内で大声を出し、同じ品物をいくつも買う。常にきめ細やかな顧客サービスを売りにしている日本人店員にとって、このような客に対し敬意をもって接することは難しい。逆に、「中国にはブランド品や、安くてよい品はないのだろうか」という印象を受ける。
日本内閣府による最新の民意調査によれば、回答者の77.8%が「中国に好感が持てない」としている。これは中国人にとってはあまり面白くない数字だが、上述の光景を思い浮かべれば、理解できないこともない。