日本をよく知る中国人は時に、前世紀80年代における中日間の「古き良き時代」を懐かしく思う。あの頃、中国はまだ貧しく、日本は急速な発展期を迎え、未来に何の不安もなく勢いづいていた。
当時、日本人観光客が中国の街でショッピングをしても、我々は軽蔑などせず、ただただ相手の豊かさと豪快さに感心するだけだった。米国の学者が『日本世界一』などの書籍を執筆、中国人もたった1週間ほど日本で過ごし、帰国後にそのレポートを書けば、それがそのままベストセラーになるほどだった。経済界も「日本に学べ」と必死になり、役人達は日本を手本にした。日本の方も、珍しく寛大さと気前のよさをアピールしていた。
ところが、時はめぐり20~30年が過ぎた。日本は発展路線から脱線し、経済衰退と政治不安の局面を迎えた。企業組織はあの頃と同じ日本人で構成され、政治体制は自民党政権から民主党政権に交代した。にもかかわらず、日本はなぜかどんどん保守的になってしまっている。
改革に乏しい、或いは改革が成功しない社会は、その考え方や視野もどんどん狭まっていってしまう。貧しさを憎み、それ以上に豊かさに嫉妬する。何の変化もないのが一番いいという考えに落ち着いてしまう。当時、経済規模は日本の1/10しかなかった中国が次第に日本に追いつき、追い越そうとしている今、この巨大な落差が大きな喪感を生んだ。80%の国民の「嫌中」意識の根本は、まさにここにあると言える。
しかし我々観光客の方も気をつけなければならない。金をばら撒くようなショッピングで尊敬を得ることはできない。80%が「嫌中」の国ではなおさらである。大金を使い、はるばる日本にやってきて、その豪快なショッピングで日本のGDPに貢献し、「買ってやっている」気取りでは、困窮する日本人店員の嘲笑や軽蔑の的になるだけである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年2月25日