文=学者 和静鈞
国にどんな大きな災害が起きても、メディアは混乱することなく、それをしっかりと伝える使命がある。
壊滅的な地震と津波、それに放射能漏れ、数千回にわたる余震・・・・・・わずか数十時間のうちに数々の災難が日本太平洋西岸の東北地帯を襲った。この危機的状況のなか、日本のメディアはその高いプロ意識と人間らしい一面をみせた。日本のメディアは国が重大な危機にある時に、あらゆるものを乗り越える公共プラットフォームとなり、国民の心と秩序をつなぎとめる役割を果たしている。
▽こうした判断の元となる様々な証拠
1200年に一度といわれる大地震の破壊力は四川大地震の20倍に相当する。天災による最悪の事態を前に、各メディアの実況アナウンサーや記者は恐怖や悲痛、或いは絶望にかられ、無意識のうちにその恐怖を誇張して伝えることがよくあるが、震災後、日本のメディアでこうした「一般的な反応」はほとんど見られず、被災状況を確実に伝える、かなりプロフェッショナルな報道をしている。
日本最大のメディアであるNHKを例にあげると、アナウンサーは常に冷静な面持ちで、非常にしっかりとした印象を視聴者に与える。画面に悲惨な死亡現場や、被災者の泣き叫ぶ映像が出ることはなく、第一線の記者もまくしたてて感情を煽るような報道はしない。今回の地震を経験した日本在住の中国人留学生は、「(日本の)テレビのニュースが特に平静で非の打ち所がない。情報量は多いのに個人のプライバシーを侵すことはなく、統計が発表されるが、感情を煽るものではない。様々な警戒も呼びかけられているがパニックにはならない」と感想を述べた。
NHKは日本で最も影響力のある報道機関で、公共性の高いメディアとしても知られ、常に「独自のスタイルで放送」することに最大の価値を置き、独立性と信頼性を保っている。大災害時であろうとこのスタイルは変わらない。