中央テレビ局のオフィスビル
視聴者はだれもがCMは好きではないと信じている。テレビに薬品やダイエット、ショッピングなど実に見ていられないCMがはびこるこの数年はとくにそうではないか。しかも、テレビドラマの放送では、開始前にCMを流し、途中でまたCMを入れ、耐え切れずため息が出てしまう。「CMはドラマの間には挟まないほしい」
だが、テレビを見るのにお金がいらない以上、CMを我慢するのも必要な代価だ。広告会社はテレビ局にお金を払い、テレビ局は番組を制作したり、ドラマを購入したりし、こうした番組を視聴する人は、自分の注意力を売りに出す。だが、この注意力こそ広告会社が求めるものなのだ。これは非常に公平な取引方法であり、3者がそれぞれ講じる必要がある。
先月に開かれた「両会」(全国人民代表大会・全国政治協商会議)では、CCTV1(中央テレビ局1チャンネル)はCMを流すのを止めるべきだ、と提起した人がいた。これより前、重慶衛星テレビはCMを止め、同市の黄奇帆市長は「神聖かつ当然なすべきことだ」と評するとともに、「CMは流さず、公益性のある広告だけを流す、これも一種の国際的な慣例であり、米国や日本などにもこうしたやり方がある」と指摘。こうしたことから、両会の一部の代表・委員はすぐさまCCTV1にCMを停止するよう求めた。
日本のNHKのみならず、英国のBBCにもCMはなく、米国のVOA(ボイス・オブ・アメリカa)もそうだ。それはなぜか。
先ずVOA。非常に多くの中国人が英語を学ぶのに、この放送を聴いており、46言語でラジオやテレビ、インターネットを通じて世界各地に番組を提供、米国の価値観も宣伝。CMがないのは、米連邦政府が資金を出しているからだ。ただ、注目すべきは、VOAは米国内向けには放送できず、対外向けのみ。米国人には、連邦政府はお金を出してメディアに宣伝させてはならないとの考えがあるからだ。
BBCとNHKはいずれも国内での視聴が可能で、両者の状況は比較的似ている。