日本の菅直人首相は先日、東日本大震災での中国からの支援に心からの感謝を伝えるメッセージを中国メディアに寄稿した。メッセージに使われた「絆」「感謝」「恩返し」という3つのキーワードには、人情や恩義といった東洋文化の要素が包含されている。
英語版メッセージのタイトルは「Thank you for the Kizuna」。「Kizuna」は日本語の「絆」だ。動物をつなぐ綱が原義で、後に断つことのできない人々や肉親の情という意味の派生した、深い感情の込められた言葉だ。日本人は人と人との情感を表現する時に、この言葉を非常に好んで使用する。小杉健治 の小説『絆』は映画化され、山川純一の漫画『絆』は広く好まれ、松浦亜弥の歌『きずな』も人気を博した。福田康夫元首相は太平洋を沿岸各国の「内海」とし、各国の人と人との心をつなぐ絆を築くことを主張した。自民党の谷垣禎一総裁も最近、絆の力で震災後の日本を復興する必要性を唱えた。これで菅首相がなぜ各国からの支援を「絆」と理解したのかが理解できるだろう。
「感謝」という言葉はタイトルだけでなく、本文中にも2回登場する。「心からの感謝を申し上げます」と「今一度、有難うございます、と述べさせていただきます」だ。助けられた後に謝意を表するのは、単なる礼節の問題ではなく、人と人との「Kizuna」を深める行いだ。中日両国間には感謝のエピソードが少なからずある。1923年の関東大震災の際、中国人は幅広く義援金を集め、日本側も「国民代表団」をわざわざ中国に派遣して謝意を表した。四川大地震の際、日本の救援隊の姿勢は中国人に深い感銘を与え、中国政府も丁重に謝意を表した。
感謝の先にあるのは恩返しだ。菅首相はメッセージで「世界各界の皆様の温かな援助に報います」と表明している。古人は「恩を施して覚えるなかれ、恩を受けて忘れるなかれ」と言った。日本では「恩返し」は子どもから老人まで知っている昔話にも登場する。老夫婦が猟師の罠にかかった一羽の鶴を救う。鶴は美しい娘に姿を変え、自分の羽根で布を織る。老夫婦はこれを売って長者になる----。「鶴の恩返し」というこの昔話は、古代中国の伝説が基になっているとのことだ。例えば中国の「白鶴銜珠」では、ある人が射られて傷を負った鶴を懸命に手当する。傷の治った鶴は飛び去ると、真珠を銜えて戻り、命を救ってもらった恩に報いる。感恩の面で中日間に共通の文化的背景があることがわかる。
助けがあれば感謝があり、感謝があれば感恩がある。このような相互作用の中で人と人との感情の絆が生まれる。中国と日本は一衣帯水の隣邦であり、両国間には断ちきることのできない歴史的、文化的絆がある。人類は一隻の船に同乗している。人と人、国と国との「Kizuna」が深まるほど、われわれが共同で波風と闘う能力も高まるのだ。
「人民網日本語版」2011年4月20日