英フィナンシャル・タイムズ紙は28日、「日本のぜいたくから節約への危険」と題する文章を掲載した。その内容は次の通り。
花見論戦はようやく終結したが、日本の長期的な回復にとってお金を使うのがいいのが、それとも節約するのがいいのかという問題は今後も議論されることになるだろう。
まず、花見反対派から紹介しよう。その代表者は78歳の東京都知事、石原慎太郎氏だ。桜の小さな花びらが満開になると、市民の多くが都内の桜の木の下で酒盛りを楽しむのが恒例になっているが、石原氏は東京都民に、巨大地震による被害から間がないのに花見を楽しむはおかしいと呼びかけた。その観点に菅直人首相がすぐに反対、経済成長を推進するためにも日本人が今消費をするべきだと主張した。
最終的に花見は規模は小さかったが、例年通り行われた。しかし自粛すべきか、通常通り消費すべきか、この問題は依然として経済性と、道徳性の2面から熱く議論されている。
まず道徳性から見てみることにしよう。80年代のバブル期に成金になった日本人は自分の食事に金箔を入れたというが、社会全体は依然として冷静だった。魚の骨をおやつとして食べ、家ではエアコンを使うのも控えた。あまり広くないマンションでは脚のないアイロン台を使い場所をとらないようにした。
公務員の千葉明さんは「小さい頃から、御米の一粒一粒を大事にするように教わってきたからムダ使いをすると変な気持ちになる」と話す。地震発生後、ムダを省き、欲望を抑えようとする傾向が改めて高まった。電気を節約するため、駅のエレベータは止まり、荷物を階段で持って上り、家では冷蔵庫のドアをできるだけ開かないようになった。被災者が苦しい目に遭っているのにそんなにぜいたくはできないと、高級レストランに行くのも控えている。