しかし、「節約か、消費か」の議論にはより緊迫、より直接的な経済問題がからんでいる。JPモルガン証券チーフエコノミストの菅野雅明氏は、政府は今年、既に予算計上された92兆円の歳出に加えて、緊急補正予算で14兆円の支出を承認すると見ている。
日本が破壊された東北地方のインフラを再建するのに巨額の資金が必要なことは誰の目にも明らかだ。問題はそれを誰が支払うのか?節約を励行する自粛派の多い財務省官僚は支出削減と特別復興税の導入によって資金を集める方法を思いついた。しかしこれについて、野村證券チーフエコノミストのポール・シェアード氏は愚かな方法だという。日銀が国債の買い増しをすれば、日本はデフレから抜け出し、経済を復興させる絶好の機械に今あるというのだ。一般的に見られているように日本は負債が積み重なっているわけではない。逆に日本は世界第二の債権国である。日本は海外経常余剰が毎年GDPの約3%に達している。これは外国資産の所有権が毎年増えているということだ。日本はGDPの200%に」迫る巨額の債務を抱えることで知られるが、政府が借金をしているのは自国の個人部門で、ギリシャや米国と違い、日本の債務問題は国内の問題として片付けられる。
日本経済は後押しが必要となる。ロイター通信が発表した4月の短観調査によると、企業の業況判断は28ポイント低下のマイナス13と記録が始まって以来最大の落ち込みをみせた。短観調査は日銀の景気調査に大きく連動している。先週発表されたデータによると、消費者の支出意欲も低下している。2011年の経済成長予測は地震前の1.6%から0.4%に落ち込んだ。
HSBCの範力民エコノミストによると、人々の情緒は決定的なもので、「最もカギとなるのは実際のインフラ被害ではなく、国民の心理への傷」だという。
自粛は心の傷と日本人の考え方からきている。こうした自粛を尊ぶ考えに疑問を持つ人はほとんどいない。その一方で、「道徳心のある人にはなりたいが、今ではない」という考えもある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年4月28日