日本側は、中国が行うレアアースの輸出制限は世界貿易機関(WTO)の規定に違反する可能性があると考え、中国に輸出規制を緩和させるためにWTOを通して圧力をかけようとしている。
「21世紀経済報道」は5月18日、権威筋から日本政府が中国のレアアース輸出割当に関するハイレベル協議の展開を計画しているという情報を得た。
日本の経済産業省はこのほど、「2011年版不公正貿易報告書」と「経済産業省の取組方針」を公表し、不公平と考える14の貿易政策を列挙した。これには中国のレアアース輸出も含まれている。日本側は、中国が行うレアアースの輸出制限は世界貿易機関(WTO)の規定に違反する可能性があると考え、中国に輸出規制を緩和させるためにWTOを通して圧力をかけようとしている。
ところが、日本のこの計画は再び無駄な努力に終わると見られる。レアアース輸出割当の管理を担当する商務部は、早くからWTOの要求を考慮に入れていた。五砿集団のある幹部は、「貿易紛争で不利な立場にならないために、商務部がレアアースの輸出割当を一気に大幅削減することはない」と話す。
ここ半年の中国のレアアース管理政策を見ると、政府は生産量を抑制し割当を調節する傾向にある。生産量を厳しく制限する理由は、中国のレアアース埋蔵量は世界のわずか30%だが、世界の90%以上の需要に応じているためだ。中国レアアース学会の林東魯秘書長によると、中国のレアアース政策は中国の環境を保護し、資源利用率を高めることを目的としたものである。
しかし、近ごろ中国が行うレアアース産業の調整の効果は、市場にも徐々に現れている。国内最大のレアアース企業の包鋼稀土を例にすると、最初のレアアース管理政策が出される前、同社は赤字で、株価が7元にも満たない小さな会社だったが、現在の株価は10倍以上に膨れ上がっている。
レアアース価格の高騰により、レアアース資源を保有する地方政府の税収も大幅に増加した。レアアースの重要な産出地である江西省カン州の2010年の税収は50%以上の伸びとなった。
そのほか、国外の数少ないレアアース企業も受益している。オーストラリアのライナスの株価は、中国のレアアース産業の調整期間に数倍に膨れ上がった。
一方、レアアース価格の高騰により、日本はレアアース買い付けに消極的になっている。「日本は、現在のレアアース価格の上昇ぶりは異常だと考えているのではないか」と、中国レアアース学界学術部門の陳占恒主任は話す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月26日