文=留日学者 李莹氏
今月21日に日本で開かれた第4回中日韓首脳会議に出席した温家宝総理は、震災被災地への訪問を自ら日本側に提案した。この行動を、日本のマスコミや世界の称賛が寄せられた。しかしこの問題の重要性を理解するには、震災後の日本の状況から話す必要がある。
▽「風評被害」が蔓延
震災後から3カ月が経ち、日本が見舞われた複合的な災害を振り返ると、地震、津波、放射能のほかに、「風評被害」があるとの見方が強まっている。福島原発の放射線問題発生後、消費者は日本産品が放射線によって敬遠され、日本経済がさらに悪化するのではないかと心配した。
まず「風評被害」を受けたのは農産品や水産品だ。JA(日本農業協同組合)の統計によると、4月末までに福島1県だけで、いわゆる「風評被害」による農産品の損失額は最低16億円にのぼる見通し。このほか約10カ国・地域が自動車で電子機器など日本の工業製品に輸入規制を敷いた。「風評被害」によってこれまで人気のあった日本製品が世界的に敬遠されることになった。
福島産の野菜を試食する枝野幸男官房長官
菅直人首相と枝野幸男官房長官は福島産の野菜や果物を頻繁に試食し、東京の各大手スーパーでも「がんばろう!日本。がんばろう!東北」の横断幕を飾り、福島・宮城・山形・長野などの東北地方の物産コーナーを特設しているが、こうした対策は「風評被害」の拡大と悪化に抜本的な歯止めをかけることができない。
農林水産省によると、4月末の時点で日本の農林水産品の輸入を規制する国や地域が2週間で8つに増え、日本国内でも東日本の大部分の農産品の卸売価格が西日本を下回っている。今月19日、日本の観光局が発表した最新データによると、4月に日本を訪れた外国人観光客は昨年比29万5800万人減、減少率は62.5%で、過去50年で最低となった。ここにも「風評被害」が蔓延している。
▽首相のパフォーマンスは役立たない