▽最も人気が集まるのは「オールマイティ」な人材
中日両国の経済往来が日増しに緊密化するにつれ、日本の観光市場も中国人に開かれつつある。こうした中、多くの派遣会社は、中国語人材の蓄積不足が現在の最大の難題だと感じている。
では、どのような中国語人材に最も人気が集まるのだろうか?
井上部長によると、キャプラン社はこれまで、事務関係の人材派遣業務を得意分野としていたという。英語と日本語が堪能な多くの中国人を、貿易実務や営業事務担当として、伊藤忠商事や外資企業に派遣していた。しかし、現在、派遣市場でも中国語人材ニーズに対する多様化が生じている。同社は、▽商業施設で中国語と日本語を操って働く接客スタッフ▽商社や外資系企業で働く英語と日本語ができる事務職員▽高度な聞く、話す、読む、書く力を備えた、さまざまなシーンで仕事がこなせる複合型中国語・日本語通訳・翻訳者--という3種類の中国語人材を早急に必要としている。
雇用状況から見て、実務能力の高い人を企業は求めている。特に学歴条件は厳しくはないが、高い総合的資質を求めている。派遣先企業が中国語人材に対して求める条件は、中国語がネイティブレベルであるだけではなく、総合的資質に対する要求をより重視している。市場では、言語能力を中心とした総合的人材に不足している。たとえば、商社は、日本語と英語が得意で貿易業務の経験があるマルチプレーヤーを求める。また、ショッピングセンターでの仕事ならば、中国と日本語ができる以外に、両国の文化やマナーにも通じていることが求められる。
派遣会社は、ひとりで何でもこなせる人材を歓迎するが、業務経験の少ない人は一切採用しないというわけではない。市場での人材ニーズに応えるため、キャプランは企業教育・研修事業に特化したJALアカデミーを開設、キャリアトレーニングと就業トレーニングセンターとしての役割を果たし、派遣会社と派遣先企業がタイアップした多面的な技能人材トレーニング体制を確立している。派遣登録スタッフは、業務上の必要に応じて、ここで必要なジョブトレーニングを受け、それを通して自らのキャリアアップを図る。