また、現在、北京に研究滞在中の古川さんは、日本における中国語通訳育成の最新トレーニング法や通訳業界の現況を紹介し、ハイレベル同時通訳者の不足、新人が育ちにくい、通訳養成講師の不足など、日本の中国語通訳業界の課題を指摘した。
北京大来代表の万紅さんは通訳エージェントの視点に立ち、「中国の通訳市場の現状と展望」と題したスピーチを行い、通訳市場の規範化、通訳レベルの向上に向け、クライアント、通訳者、エージェントの三者による協力関係の構築を訴えた。
真面目に講座を聞いている受講者たち
北京大来創傑諮詢有限会社代表の万紅さん
受講者も「ベテラン通訳の経験談のみならず、中国、日本の双方の視点、そして、エージェントの考え方も知ることができ、たいへん充実した時間だった」と感想を話した。
今年に入り、東日本大震災やリビア危機など一連の出来事で、中国では海外放送局の最新報道を同時通訳で中継する回数が目立って増え、これまで目立たなかった放送通訳や同時通訳の存在を知らせるようになったことも背景にある。
なお、万紅さんは今回のセミナーを無料で主催したことについては、「受講者の真剣さと熱気が伝わり、セミナー開催の意義を確信することができた。通訳業界の交流促進につながるこうしたイベントは、できれば毎年行なっていきたい」と満足した笑みを浮かべた。
交流会の会場に設けられた同時通訳ブース
「中国国際放送局 日本語部」より 2011年7月31日